「経済成長・お金第一を転換すべき時代」。今、ウェルビーイング経営が求められている理由について前野隆司・慶應大教授はこう語る。
ウェルビーイングな企業の商品やサービスなどを表彰する「ウェルビーイングアワード」をHakuhodo DY Matrixと朝日新聞社、SIGNINGで結成された実行員会が開催。11月25日に記念ウェビナーが開催された。
ウェビナーに登場した前野教授は同アワードで審査委員長を務める。幸福学について研究している前野教授は、「幸せに働くと創造性・生産性も高く、離職率も低いことが明らかになりつつある」と、ウェルビーイングは、ビジネスにとっても有効であると説明した。
前野教授によると、社員がウェルビーイングな状態とは「あまり働かないという誤解がよくあるんですが決してそうではない。やりがいがあって、繋がりがあって、エネルギッシュでチャレンジ精神に満ちている状態」。また、ウェルビーイングを考えた製品は「お客さんの幸せになるっていうのは一番買いたくなるもののはず」と述べ、ビジネスとウェルビーイングが両立することは当たり前だと断言。
さらに、ウェルビーイングがこれほど注目されるのは時代的な背景があるとして「資本主義経済、お金を重視しすぎました。だからポスト資本主義、ウェルビーイングを考えながら経済を運営していくことに人類が目覚めなくてはいけない」「産業革命以来の大転換点にあると思います」と語った。
また、ウェビナーには同じく審査委員長となる宮田裕章・慶應大教授も登壇。Hakuhodo DY MatrixとSIGNINGによる調査を元に提案された、「ウェルビーイングバリューチェーン」(ウェルビーイングマーケティングからはじまるポジティブな連鎖である)をビジネスで重視するという考え方について話した。
DXによってウェルビーイングバリューチェーンを実現しようとしている企業の例として宮田教授があげたのは、生命保険会社の取り組み。
これまでの「契約を取ることが重要でその後は関わらない」というビジネスのやり方から、顧客の健康管理のためのアプリを作って、関わりを持ち続けながら「病気にならないために楽しく運動したり、病気になってもベストなドクターを紹介して、元気に復帰してもらう」サービスを始めたと紹介した。
「まさにウェルビーイングのバリューチェン。人が健康に長生きし、社会の負荷も下がり、企業としても支払いが軽くなる、三方よし。顧客視点を考えることで、企業や社会にも好循環をもたらす」と宮田教授は話している。
アワードは11月25日から応募が開始され、2023年3月に授賞式が行われる。
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「経済成長・お金第一を転換すべき時代」。ウェルビーイング経営が必要な理由を前野隆司・宮田裕章両教授が語った。