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「救急車のサイレンを鳴らさないで出動できませんか?」
道路交通法では、救急車や消防車が緊急自動車として道路を走行する場合は、サイレンを鳴らし、赤色の警告灯を点灯させることが定められている。
しかしながら、救急車の出動要請する際、サイレンを鳴らさないように求める通報者が少なからずいるという。
熊本市消防局は、サイレンの必要性を訴える動画「No Siren, No Ambulance.~サイレンは命のために鳴らしています~」を、市の公式YouTubeチャンネルで公開。大きな反響を呼んでいる。
およそ3分の動画では、実際の119番通報をもとに職員がやりとりを再現。出動要請の際に、通報者からこんな要求がある。
「救急車ってサイレン鳴らしますよね? 鳴らさないで来てほしいんですけど」
それに対し職員が「一刻も早く安全に向かうために必要」だと強調すると、通報者は「じゃあ自分で行こうかな」と一言。
職員が「行ってる途中に悪化すると危ないですから」と止めようとするも、通報者は家族に「病院連れて行って」と呼びかけ、「もう大丈夫です。どうにかします」と言って通報を一方的に切ってしまう。
他の通報でも「遅い時間なのでサイレンとか使わないで。緊急とかではそんなにないので」「ただの酔っ払いなので…」と様々な理由で、サイレンを鳴らさないよう求める。
こうした現状を受け、動画では、「確かにサイレンはうるさいかもしれない 大袈裟かもしれない 迷惑かもしれない」とした上で、「それでも誰かの命のため、鳴らさなくてはならない」と理解を呼びかけている。
特に、夜間の住宅街などの見通しの悪い道路では、事故を防ぐためにも通報内容にかかわらずサイレンや警告灯を使い、周囲に注意喚起を行うことが必要不可欠だという。
動画によると、多い日には24時間で200件にも及ぶ119番通報が寄せられているという。さらにFNNプライムオンラインの取材に対し熊本市消防局の担当者は、2022年10月にあった救急要請に関する119番通報は3385件で、そのうち約150件は「サイレンを使わないでほしい」という要望があったと明かしている。
動画はYouTube上で1万回以上再生され、ネット上では、以下のようなコメントが寄せられている。
「目立ちたくないのはわからなくはないけれど、命を救うためにはサイレンが必要」
「道路交通法で定められていると知らない人も多いのでは。たくさんの人に見てほしい動画」
「こんなに1日に多くの通報あると知らなかった。一つでも多くの命を救うためにも知っておきたい」
熊本市消防局はSNSでも、「サイレンを使わないで来てほしい」や「夜なので家の近くで音を止めてほしい」などの要望に対し、「緊急の際は24時間いつ何時でも駆けつけますが、一刻も早く到着するためにサイレンの使用は必須です」「夜の住宅街ほど、目に見えない危険が沢山です」などと回答。「ご理解とご協力をよろしくお願いします」と呼びかけている。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
「救急車のサイレン鳴らさず来て」。通報者からの要望に“応えられない”理由、消防局が動画で訴える