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配偶者の同意が必要。10万円ほどはかかる。「堕胎罪」がある──
こうした日本の人工妊娠中絶をめぐる現状は国際的な基準から外れているとして、研究者らでつくる団体「#もっと安全な中絶をアクション」が11月14日、参議院議員会館で院内集会を開いた。
厚労省や法務省の担当者も出席、団体からの質問に答えたものの、主催した団体や国会議員、一般参加者からは多くの疑問の声が上がった。
集会では、WHOが公表している中絶のガイドラインについて説明。中絶の完全な非犯罪化を推奨していること、配偶者や家族の同意を中絶の要件としないよう求めていることなどを紹介した。
日本では中絶に関して、刑法で「堕胎罪」が設けられている。「母体保護法」の中で、身体・経済的な理由で「母体の健康を著しく害するおそれのあるもの」については「本人及び配偶者の同意を得て、人工妊娠中絶を行うことができる」と定めており、「完全な非犯罪化」はされていない。
また、原則として配偶者の同意も必要な上、相手が配偶者でなくても同意を求められるケースも少なくない。国際的には中絶に配偶者の同意が必要な国や地域は非常に少数で、国連の女性差別撤廃委員会も2016年、配偶者同意の要件を廃止するよう日本に勧告している。
団体からは厚労省や法務省に事前に質問を提出。
厚労省は配偶者の同意が必要な理由について、1948年にのちに母体保護法となる旧優生保護法が議員立法で制定された際に設けられていたとし、「当時立法した趣旨がどのようなものだったかについては明確なお答えは困難」と説明した。
また、現在イギリスの製薬会社が日本国内でも経口中絶薬の使用を認めるよう厚労省に申請中だが、承認されたとしても母体保護法にのっとって運用されるため、厚労省の担当者は「配偶者の同意が必要となるということだと考えております」とした。
これらの回答について、会場からは「それで女性が権利を制限されるなんて」などの声が上がっていた。
集会では「国際基準の中絶薬を求める要望書」を厚生労働大臣と法務大臣宛てに提出。経口中絶薬を速やかに承認すること、費用を高額にしないこと、堕胎罪や母体保護法の見直しなどを求めた。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
中絶、配偶者の同意はなぜ必要?「立法趣旨は不明」な70年以上前の法律に、女性は今も縛られている