性暴力被害を公表したジャーナリストの伊藤詩織さんが、自身を中傷するイラストをTwitter上に投稿され名誉を傷つけられたとして、漫画家のはすみとしこさんと、投稿をリツイートした男性に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が11月10日、東京高裁であった。
岩井伸晃裁判長ははすみさんに対し、一審の88万円から増額して110万円の支払いを命じた。男性には新たに11万円の支払いを命じ、男性の賠償額は計22万円となった。
一審判決によると、はすみさんは2017年6月〜19年12月、伊藤さんとみられる女性や、「枕営業大失敗」などと書いたイラストなど5件を投稿した。
一審判決はこれらのイラストについて、伊藤さんが「(性被害に遭ったという)虚偽の事実を述べる人物であるなどの印象を一般の読者に与える」ものであり、「社会的評価を低下させるものというべき」だと指摘。その上で、「社会通念上許容される限度を超えた侮辱行為」だと判断した。
伊藤さんは、はすみさんの投稿をリツイートした男性2人も提訴し、慰謝料の支払いなどを求めていた。
一審判決では、今回のリツイート行為に関して、はすみさんによるツイートが「各被告ら自身の発言ないし意見でもあるといえる」と認定。「その内容についてそれぞれ責任を負うというべきである」と指摘し、2人に対してそれぞれ11万円の支払いを命じた。
一審判決後、はすみさんと男性1人が控訴していた。
高裁判決では、はすみさんの投稿が、「『枕営業』に失敗して仕事のあっせんの見返りを得られなかった被控訴人(伊藤さん)が、性暴力の被害者を詐称しているとの意味において用いられたものと解される」と指摘。「社会通念上許される限度を超える侮辱行為であると認めるのが相当」だと判断した。
はすみさんのツイートやイラストの表現について、伊藤さんの社会的評価に与える影響が大きい上、「名誉権及び名誉感情の侵害の程度が著しく、被控訴人が被った精神的苦痛の程度は多大なものというべき」だと結論づけた。
さらに、男性が一審判決の翌日、伊藤さんの社会的評価を低下させる投稿をリツイートし、名誉感情を侵害したと認定。新たに11万円の支払いを命じた。
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はすみとしこさんに110万円の賠償命令。伊藤詩織さんの中傷イラストを投稿 東京高裁