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ヘリウムが消滅すると「太陽が巨大な水爆と化す」理由

ヘリウム」は宇宙で2番目に多く存在する元素です。そして、水素に次いで2番目に軽い元素でもあります。それにも関わらず、日常でヘリウムのありがたみを感じることはほとんどありません。

では、そんなヘリウムが5秒間消えたら、世界はどうなるのでしょうか?これについて、海外YouTubeチャンネル「What If」が解説しています。

もしもヘリウムが5秒間消えたら世界はどうなるのか?


1868年、日食中の太陽に黄色い光があることを発見した天文学者によって、ヘリウムは発見されました。名前はギリシャ神話の神ヘリオス(Helios)にちなんで付けられています。

ヘリウムはあまり目立ちませんが、バーコードリーダーのレーザー、MRIスキャナーのような医療機器、CERNの大型ハドロン衝突型加速器のような科学研究機器に使われています。

しかし、ヘリウムが5秒間無くなっても、誰も何も気づかないでしょう。なぜなら、地球の大気にはヘリウムがほとんどないからです。当然、ヘリウムが無くなっても呼吸などは、問題なく続けられます。

ただ、もしMRIスキャンの最中にヘリウムが無くなったら、大変なことになります。MRIは大量のエネルギーと超伝導磁石を使うため、低温に保つ必要があります。

そのために、マイナス269度の液体ヘリウムを通しています。ヘリウムが無くなって冷却ができなくなると、磁石がオーバーヒートしてしまいます。また、ヘリウムが無くなった瞬間にMRIの中にいたら、大やけどを負ってしまうでしょう。

CERNの大型ハドロン衝突型加速器で働く科学者たちも、すぐに同じような問題にぶつかります。120トンの液体ヘリウムが突然失われると、この装置の粒子ビームを操る磁石は高温になってしまいます。

しかし、これは最悪の事態ではありません。なぜならヘリウムが5秒間、宇宙から無くなると、他の場所ではもっと大変なことが発生するかもしれないからです。

太陽の中心部では、水素原子の核融合によってヘリウムが生成されます。生成されるヘリウムの量は1秒間に7億トンです。核融合の過程では、外側に膨大な圧力がかかっています。そして、この圧力をうまく逃がさないと、爆発してしまいます。原理は水爆と同じです。

しかし太陽には、巨大な重力によって形成される内向きの圧力もあります。この引力は、コアを取り囲むガスマントルに作用しています。その結果、爆発を防ぐための十分なバランスが保たれているのです。

もしヘリウムがすべて消えてしまったら、太陽の質量の大部分が無くなってしまうことになります。そうすると、太陽の重力が小さくなってしまいます。そして、バランスが崩れ太陽は爆発寸前になるでしょう。

太陽が爆発すれば、当然地球も滅びることとなるでしょう。ヘリウムは日常生活ではほとんど存在感を感じませんが、宇宙規模では非常に重要な元素なのです。

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ヘリウムが消滅すると「太陽が巨大な水爆と化す」理由