アメリカ下院の民主党議員のグループは11月4日、スターバックスのハワード・シュルツCEOに、組合に加入する従業員にも平等な福利厚生を提供するよう求める書簡を送った。
20人以上の議員らが署名したこの書簡は、スターバックスが職場の福利厚生を“武器”にして、従業員の組合結成を妨害していると批判。
「我々は、スターバックスの組合つぶしや脅迫、報復などの幅広い戦略を、注意深く監視している」と警告している。
議員らが書簡で指摘しているのは、妊娠中絶に関連した旅費の支払いだ。
スターバックスは5月、中絶の権利を保障してきたロー対ウェイド判決を覆すという最高裁の草案が報じられたことを受け、従業員の中絶に係る旅費を負担すると発表。さらに6月には、会社の医療保険に加入しているパートナーにも同様に旅費を支給すると説明した。
しかしその一方で、組合に加盟した店舗については、契約交渉中であることを理由に「いかなる利益についても約束または保証することはできない」と通達している。
議員らは、こういった受給要件が従業員に混乱を招いていると指摘。具体的な内容や、組合加入者にも支払われるかなどを明確に示すよう求めている。
また、「すべての労働者には労働組合に加入する法的な権利があり、雇用主が提供するさまざまな福利厚生を受けられるようにすべき」と述べた上で、組合に加入した労働者に差別的な扱いを続ければ、連邦所有地での店舗運営の権利を取り消す可能性もあると警告した。
この書簡について、スターバックスは「私たちは、会社の医療保険に加入しているパートナー全員に、妊娠中絶の旅費と性別適合医療を提供すると一貫して伝えています」とハフポストUS版にコメントした。
しかし、同社の組合「スターバックス・ワーカーズ・ユナイテッド」は、「会社は故意に、組合を結成した店舗の従業員への旅費支給を不明確にしている」と指摘する。
組合結成に関わった従業員キャシー・ムーア氏は、スターバックスが定めている「従業員が自宅から100マイル(約160キロ)以内で中絶できなかった場合」という支給条件について、「意図的にこの文章を加えたことで、利用できるかどうか非常にわかりにくくなっている」と話す。
「従業員たちは『私たちには権利があるのかないのか?』と聞いているのですが、マネージャーたちは回答できません。彼らはアメリカ中で、矛盾することを言っています」
議員らは書簡で「スターバックスはさまざまな外部グループが、組合結成の取り組みを妨害していると非難しているが、必要不可欠な医療ケアを武器にして従業員を脅し、組織化を思いとどまらせているのはスターバックスだ」と指摘し、改善を求めている。
ハフポストUS版の記事を翻訳・編集しました。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
米民主党議員、スターバックスを「組合つぶし」と警告。平等な福利厚生を求める