サッカー元日本代表FWの工藤壮人さんが10月21日、死去した。所属するJ3のテゲバジャーロ宮崎が同日、発表した。32歳だった。
同クラブの発表によると、工藤さんは2日の練習時間外に体調不良を訴え、翌3日に医療機関を受診。検査の結果、水頭症との診断を受けた。
11日に手術を受けたがその後容態が悪化し、集中治療室(ICU)での治療に専念していたという。
水頭症とはどのような病気なのか。症状や原因などをまとめた。
東海大や名古屋市立大・東部医療センターなどの公式サイトによると、水頭症とは、脳脊髄液が頭の内側で過剰にとどまる病気のこと。何らかの原因によって、髄液の循環・吸収障害が起こり、その結果、脳室の異常拡大が生じた状態だ。
生まれつきの異常で起こる先天性と、生まれた後に生じる後天性がある。
通常、髄液は作り出されてから脳や毛細血管などに吸収されるまでに一日に3回ほど循環し、入れ替わる。
循環経路での髄液の流れが何かしらの原因で悪くなると、脳室内に髄液が停滞し、脳室が徐々に拡大。脳が圧迫され、さまざまな症状が表れる。
頭の大きくなる病気として、子どもの水頭症は広く知られているが、年齢を問わず大人でも発生し得る。
後天性の水頭症の原因は、
▽脳室内部への出血の波及、けがによる硬膜下血腫などの頭蓋内出血
▽炎症
▽脳腫瘍
などがある。
主な症状としては、頭痛や吐き気、嘔吐など。さらに進行すると、視力障害や意識障害などが生じることもある。
食欲不振や体重減少、全身の倦怠感といった頭の病気とは考えにくい症状もあり、長い間気づかれない場合もある。
MRIやCTの検査を経て水頭症か否かが診断される。胎児の場合は超音波エコーによって診断されることがある。
慶應大脳神経外科学教室のサイトによると、内服で治ることはなく、過剰な髄液を脳以外の身体の部分に誘導して髄液循環を維持する「短路(シャント)術」などの手術で治療する。
テゲバジャーロ宮崎の代表取締役社長・二村恵太氏は、工藤さんの訃報を伝える発表文の中でコメントを掲載した。
工藤さんを「非常に実績がある選手」と振り返った上で、「それにも関わらず、驕りなどは一切なく、自分のことだけでなくチームメート、クラブ、そしてサポーターのことを大切にする素晴らしい姿勢の持ち主でした。クラブスローガン『真摯』をまさに体現してくれる存在でした。そのような選手のあまりにも早い逝去は、無念で残念でなりません」と惜しんだ。
「工藤選手が信頼してくれたクラブをより良いクラブにすることで、少しでも恩返しして参りたい」と現在の心境をつづった。
工藤さんに対し、「テゲバジャーロ宮崎に来てくれて、力になってくれて、本当にありがとうございました」と感謝の言葉で締め括った。
二村氏のコメント全文は以下の通り。
私たちの大切な仲間である工藤壮人 が息を引き取りました。工藤選手を応援するサポーターや関係各所の皆様から、多くの励ましのメッセージをいただいたこと、クラブを代表し、御礼申し上げます。
工藤選手はJ1で活躍し、日本代表にも選ばれるなど、非常に実績がある選手です。それにも関わらず、驕りなどは一切なく、自分のことだけでなくチームメート、クラブ、そしてサポーターのことを大切にする素晴らしい姿勢の持ち主でした。クラブスローガン「真摯」をまさに体現してくれる存在でした。
そのような選手のあまりにも早い逝去は、無念で残念でなりません。
選手、スタッフ、クラブ一同はまだ気持ちの整理ができない状況もございますが、工藤選手が宮崎に、クラブに残してくれたものを大切に引き継ぎ、精進して参りたいと思います。そして、工藤選手が信頼してくれたクラブをより良いクラブにすることで、少しでも恩返しして参りたいと思っております。
工藤選手、テゲバジャーロ宮崎に来てくれて、力になってくれて、本当にありがとうございました。
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水頭症とは?サッカー元日本代表の工藤壮人さん、32歳で死去。診断後にICUで治療していた