何も事情を知らない人たちにとって、カナダのオンタリオ州・ハミルトンで仮装した人たちが集まっている光景は異様に見えただろう。
ハロウィンは1カ月以上先だが、ある少年はそれまで生きていられるか分からないーー。
そこで彼のために、近所の人たちは一足早くハロウィンを祝うことにした。
カナダのテレビ局CBCによると、ニックとキラ・ハーダキス夫妻は、赤ちゃんの時に悪性脳腫瘍と診断された息子アレキサンドロス(以下アレックス)くんの命を救うため、4年半の間、借金を重ねながら実験的治療を続けてきた。
しかし9月頭、この治療がもう効いていないと知らされたという。
ハーダキス夫妻はクラウドファンディングGoFundMeのキャンペーンページに辛い状況を記した。「悲しい気持ちですが、私たちの戦士についての近況をお伝えします。今日、アレックスの医師と話しました。アレックスが来週もまだ生きていられるか分からない、と伝えられました」
同キャンペーンの主催者であるハーダキス家の友人、ポーラ・ズアナキス・アンダーソンさんは、5歳のアレックスくんがどうしてもナイアガラの滝にあるお化け屋敷に行ってモンスターを見たいという願いを聞いていた。しかし医師は家にいるよう助言した。
そこでポーラさんは、アレックスくんの状況とモンスターを見たいという願いを、ハミルトンの地元コミュニティーのFacebookページに投稿した。すると、投稿から3日後、近隣住民みんなが仮装し露店を用意して、アレックスくんのためにハロウィンパーティーを開いた。
ポーラさんはCBCの取材に対し、「この夜を素晴らしいものにするために、とても多くの人が集まってくれました。私は泣き出してしまいました。アレックスは全ての人に手を振っていて、このパーティーが彼のためだと分かっていました。彼の目には、愛が溢れていました」と話した。
ゾンビや魔女、他にもさまざまなキャラクターで賑わう通りを、アレックスくんは両親に担がれて通り、みんなにあいさつした。
消防車に乗った本物の消防士も、勇気ある少年アレックスくんに会うために立ち寄った。
一足早いハロウィンパレードには、何百人という人が集まった。
父親のニックさんはCBCに「こんなに多くの人たちが来てくれるとは思いませんでした。言葉になりません」と語った。
2019年に3歳の娘をがんで亡くした地元住民のアリアン・クラークさんは、パレードへの参加はコミュニティの重要さを思い起こさせてくれたという。
「このコミュニティが私たちのような家族を支えるため毎回集まってくれるのを見るのは、胸が張り裂けそうな思いです」とクラークさんはInstagramに投稿した。
「私は感動でゾクゾクし、たくさん泣いて、たくさん笑いました。こんな場所は、他にはないでしょう」
ハフポストUS版の記事を翻訳・編集しました。
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ハロウィンまで生きているか分からないー。末期がんの子どもに近隣住民が一足早い仮装パレードをプレゼント