男性器にそっくりな食虫植物「ネペンテス・ホルダニー」(Nepenthes holdenii)がネット上で話題になり、カンボジアの環境省が勝手に採取しないよう警告する事態になっています。
*Category:テクノロジー Technology|*Source:khmertimes,livescience,wikipedia
海外メディア「khmertimes」によれば、ネペンテス・ホルダニーが摘まれる理由は、植物の見た目が「男性器」に似ているからだとのこと。
カンボジア環境省はこれについて、女性がその植物を採種し、一緒にポーズを取っている画像をFacebookに公開するという異例の対応をとりました。そして、同省職員が一般市民に対して、この珍しい植物を採取しないよう要請したのです。
また、採種した女性たちに対して「あなた達は間違っている。今後二度とやらないでください。天然資源を愛してくれてありがとう。ただ、無駄になるような採種はしないでください」とコメントしています。
同省によれば、この植物はワシントン条約(CITES)の「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」の付属書IIに含まれ、取引が禁止されているとのこと。
ネペンテス・ホルダニーは、カンボジア西部の熱帯の水差し植物で、海抜600〜800mの標高で生育します。先端の部分は昆虫を捕獲する罠になっており、かかった昆虫を栄養素にしています。
この植物は当初、カルダモン山脈の2つの山からしか発見されていませんでしたが、2011年10月に新たな個体群の発見が報告されました。
また、写真に写っている植物は「ネペンテス・ボコレンシス」(Nepenthes bokorensis)という近縁種ではないかともいわれています。
「ネペンテス・ホルダニー」と「ネペンテス・ボコレンシス」は、外見が似ており、どちらも近くの山脈にしか生息していないため、混同されている可能性があります。ネペンテス・ホルダニーの方は希少種であり、その生息場所を知っているのは研究者でもごくわずかしかいないそうです。
カンボジアは世界で最も森林に恵まれた国の1つで、自然も豊かなことで知られています。しかし近年では森林破壊が急激に進んでおり、貴重な食虫植物の自然生息地も、農地拡大や観光産業の発展により減少しています。
経済発展や観光客の増加は重要ですが、それによって環境が破壊されてしまうのは問題です。話題になればなるほど心無い観光客が集まり、「種の絶滅」につながりかねないというという恐ろしい状況が〝ネペンテス・ホルダニー事件〟の真相です。「SNSでバズりたい」という気持ちで、希少な動植物をむやみに採取するのはやめましょう。
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