「この音『ヒューン』なのか!」
普段、何気なく駅で聞く「プルルルル」「ビュゥゥゥゥ」という音。
中にはその音が聞こえなかったり、そもそも何の音か判別できなかったりする人もいます。
そうした背景から、駅のホームに流れるアナウンスや電車の発着などの音情報を文字や手話で表現する「エキマトペ」の実証実験を2022年6月15日から12月14日まで、JR上野駅(東京都台東区)の1・2番線で実施しています。公式サイトでは、装置が生まれた経緯を以下のように紹介しています。
「『エキマトペ』は、川崎市立聾学校の子どもたちのアイデアから生まれました。『もっとこうなったら通学が楽しくなるのに』という子どもたちの声をなんとか形にしたい、その一心で企業側が力を合わせプロトタイプを作成しました」
実際の反応は一体どういうものなのでしょうかーー。
聴覚障害を抱えている、うさささん(@usasa21)が9月2日に投稿した漫画が話題になっています。
この漫画には「『知らないこと』を教えてくださってありがとうございます」「ぜひ、実証実験終了後、本導入してほしい」といったコメントが寄せられています。
うさささんはブログやツイッターで、育児や耳が聴こえないことで起こったことや体験したことを漫画やエッセーで発信しています。
普段は感じることのできない貴重な世界を、かわいいうさぎと共に楽しめる漫画なので、ぜひご覧になってみてはいかがでしょうか。
ハフポスト日本版はうさささんに取材しました。一問一答は以下の通りです
ーーなぜ、このエピソードを漫画にしようと思ったのでしょうか? また、タイトルの“正解の音たち”という表現が印象的だったのですが、そこにはどのような意図や感情が込められているのでしょうか?
音に関するものは全て予測だらけの世界で生きている私にとって、正しい音を知るってとても大事なことなんです。正しい音をエキマトペは教えてくれ、ホームでの世界が一気に変わりました。予測しなくていい、とても自然な形でホームにあふれる音を知れる、私は聴者にとても近い形であの場に立てたんです。この感動を聴者に伝えたい、できれば開発者にも伝わってほしいと思い漫画を描きました。
ーーいつ頃からこのような漫画を描き始めたのでしょうか? 始めたきっかけや思いなどがあれば教えてください。
きっかけや思いは全てこちらに記載していますので、ぜひともご覧いただけたらうれしいです。
ーーTwitter上で大きな反響を呼んでいますが、どう受け止めていますか?
聴者にとってあまり必要のない装置かもしれません。なので批判も少なからず起こるんだろうかと不安だったんです。でも「もっと広まるべき」「全ての駅に」といった声が非常に多く驚いています。とても優しい言葉であふれており涙ぐんでしまいました。
ーー読者に伝えたいメッセージがあれば一言お願いします。
エキマトペは聴覚障害者にとても優しく寄り添った装置だと思います。ぜひとも一度、上野駅に足を運んでみてはいかがでしょうか。開発者の優しい世界がきっとそこにあります。
ひとりひとりが、サステナブルな地球環境の中で、自分らしく生きていくためにーー。
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オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
「正しい音を知るってとても大事」聴覚障害者が“エキマトペ”に出会った感動がマンガに