7月29日にリリースしたビヨンセの新アルバム「Renaissance(ルネッサンス)」に収録されている曲の歌詞の一部が、変更されることになった。ビヨンセの代理人が8月1日に発表した。
歌詞が変わるのはドレイクが共同で作曲した「Heated(ヒーティッド)」で、「spaz」 「spazzin」という単語が、身体障がい者に対する差別だと批判されていた。
「spaz」は、痙直型両まひ(spastic diplegia)から発生した単語で、障がい者に対する中傷として使われる。痙直型両まひは脳性まひの一つで、特に腕や足に運動障害が起きる。
ビヨンセの代理人は「この言葉は、誰かを傷つけるために意図して使われたものでありません」としつつ「置き換えられる」と説明した。具体的な変更内容などは明らかにしていない。
オーストラリア在住のライターで障がい者権利擁護活動家のハンナ・ディヴィニーさんは、「ヒーティッド」の歌詞問題を最初に指摘した一人だ。
ディヴィニーさんは「ルネッサンス」のリリース後に「侮辱されたようだ」とツイート。さらにガーディアンへの寄稿で、次のように気持ちをつづった。
「ビヨンセの音楽とビジュアルによるストーリーテリングへの貢献は、他に類を見ません。その物語や苦しみ、黒人女性の繊細な実体験に世界の目を向けさせる力も同じです。私は彼女の支持者としてそのことをわかっていますし、暗い影を投げかけたくはありません。しかしそれが、身体障がい者を差別する単語を使う言い訳にはなりません」
歌手のリゾも6月に、同じ単語を「Grrrls / ガールズ」で使ったことを批判され、その後歌詞を変更した。
ディヴィニーさんらはこの時も、障がい者への中傷にあたると声を上げた。
リゾは歌詞変更について、「一つだけ、はっきりさせてください。私は決して、誰かを軽蔑する言葉を強調したかったわけではありません」とインスタグラムで説明。
「これはみんなの声に耳を傾けて、行動した結果です。影響力のあるアーティストとして、私は自分自身がずっと待っていた変化の一部になるために、全力を注ぎます」と述べた。
「ルネッサンス」はビヨンセにとって7枚目のソロアルバムで、リリース直後から高い評価を得ている。しかしその一方で、他にも物議を醸している問題がある。
収録曲の「Energy(エナジー)」には、歌手ケリスの2003年のヒット曲「Milkshake(ミルクシェイク)」がサンプリングされている。
しかし、同曲で「ミルクシェイク」の作曲者ファレル・ウィリアムズとチャド・ヒューゴの名前はクレジットされているものの、ケリスの名は触れられていない。
これについてケリスは、「事前に知らされていなかった」「これはコラボではなく盗みだ」と批判した。
名前がなかったのは、サンプリング部分にケリスのボーカルが入っていないためと見られている。
しかしケリスは以前から、ウィリアムズとヒューゴは作品で彼女の名前を適切にクレジットせず、約束した支払いもなされなかったと主張している。
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
ビヨンセが新曲の歌詞を変更へ。身体障がい者への差別と指摘されていた