今までのゲームの在り方は、シングルプレイゲームであろうとオンラインゲームであろうと、ゲームを提供する側、すなわち我々クリエーターが一つの完成品としてゲームを提供し、それをユーザーがプレイするという一方通行の流れでした。 他方、黎明期を脱し、今まさに成長期に突入しつつあるブロックチェーンゲームは、トークンエコノミーを前提とすることで、自律的なゲームの成長を可能とするポテンシャルを秘めています。この自律的なゲームの成長を可能とする最大のドライバーは、ゲームをはじめとしたインタラクティブコンテンツに対する人々の向き合い方・動機の多様化であり、トークンエコノミーの進展はこの流れをさらに加速させるでしょう。最近巷間を賑わしている「Play To Earn」という概念は、まさにこのトレンドの典型例だと思います。 こうしたトレンドに対し、マジョリティである「Play To Have Fun」(シンプルにゲームを楽しみたい)という動機を持った人々の中で、一部懸念の声があることも十分理解しています。他方、コミュニティの中には「Play To Contribute」(ゲームをより面白くするために貢献したい)という動機を持った人も常に一定数いる中、今までのゲームの在り方では、個人の善意やボランタリー精神といった不安定なものが、創作活動の拠り所となっていました。 これは、従来からあるUGC(User Generated Content)の限界とも無関係ではありません。UGCは、その提供者個人の表現意欲のみを創作の拠り所しているため、創作活動の対価としての明示的なインセンティブが存在しておらず、これがゲームチェンジャーとなるようなビッグコンテンツがUGCから生み出されにくかった理由の一つではないか、と考えています。