最近、タワーマンションに対する否定的な記事や論調を目にすることが多くなった。十数年前に私が「タワマン批判」的な記事を書き始めた頃は、まったくの孤立無援だったことを考えれば、隔世の感がある。
コロナ以降はテレワークの普及で、多くの人の自宅滞留時間が多くなった。自宅がタワマンの場合に、さまざまな不都合が生じたエピソードを取り上げている記事が多い。
そもそも、タワマンは都心か、その周辺部に多い忙しい人向きの住まいだ。彼らは本来あまり自宅には滞留しない人々だった。それがテレワークでにわかに自宅にいる時間が長くなり、不都合に気付いてしまう。
例えば、タワマンの戸境壁は薄い。普通のマンションなら戸境壁は鉄筋コンクリートの躯体になっている。しかしタワマンは乾式壁と言って、石膏ボードに遮音材を挟んだような建材が使われている。これでは必然的に隣戸の生活音が聞こえてしまう。
お互いに普段は昼間不在だったのが、24時間滞留すると、嫌でも生活音が聞こえてしまう。場合によってはくしゃみの音すら漏れてくるのだ。
また地震になるとよく揺れる。高層階なら、地震が終わった後でも揺れがしばらく続く。これに不安を抱く人も多い。
ずっと自宅にいると、エレベーターを使う機会も多くなる。コロナ以前の「寝に帰る」だけだったら、エレベーター待ちのイライラも、どのボタンを押すかで微妙に感じる階数ヒエラルキーに対しても、わりあい無頓着でいられた。それが妙に気になるようになる。
住むためのコストについても最近クローズアップされてきた。管理費や修繕積立金が値上がりしているのだ。
原因は、人手不足で、直接的には管理員や清掃員が人手不足によって賃金が上昇している。
さらに建築関係の職人さんが少なくなったことで、大規模修繕工事の費用もかなり値上がりしている。タワマンの場合、通常のマンションに比べて大規模修繕工事のコストが2倍以上とされる。だから、タワマンの月々の修繕積立金が、新築引渡時の3倍から4倍に値上がりするケースは珍しくない。5倍以上ということもある。
こういった理由により、世の中のタワマンに対する幻想は崩壊しつつある。
一方、管理費などは不要で、ランニングコストをオーナーが調整でき、マンションよりも部屋数や広さが確保できる戸建ての人気が高まっている。
コロナによってテレワークが常態化した先進国共通の現象である。首都圏での新築戸建ての供給が大幅に増えているということはなさそうだが、開発業者に取材すると作る先から売れてしまう状況だとか。
戸建て系の開発業者やパワービルダーの業績もおおむね好調。そして最近、老朽マンションの出口戦略が閉塞している問題も話題に上る。日本人の住宅選びは今後、再び戸建て志向が主流であった昭和の頃へと回帰するかもしれない。
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引用元: https://swallow.5ch.net/test/read.cgi/livejupiter/1642591681/
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