「貯金」おすすめのやり方とは?専門家に聞いた貯め方の3つのコツ【解説】

「貯金」3つのコツ

「貯金」とは、銀行口座に預金することも含めて、お金を貯めておくこと。「貯金」のおすすめのやり方とは?うまく貯めるコツは?お金の専門家で「日本金融教育推進協会」代表理事の横川楓さんと、貯金アプリ「finbee」を提供している株式会社ネストエッグの野口佳織理さんに聞きました。

【目次】

1.そもそもみんなどのくらいお金を貯めてる?

2 貯金のやり方って?

3.口座にいくらあればいい?

4.貯金アプリってどんなもの?

5.貯金アプリを使わずにできる貯金方法は?3つのコツとは?

そもそもみんなどのくらいお金を貯めてる?

横川さんは、「日本人はお金を貯めている人が多く、投資をしている人は少ないと言われてきました」と指摘します。

「日本銀行の『金融広報中央委員会』の2021年の調査によれば、単身世帯の金融資産保有額、つまり預金から投資商品までの資産を指しますが、このように若い世代と高齢者世帯では、倍以上の差があるのがわかります」

「家計の金融行動に関する世論調査(令和3年)」金融広報中央委員会より作成

【20代】

単身世帯の平均が179万円、中央値が20万円、二人以上世帯の平均が212万円、中央値が63万円

【30代】

単身世帯の平均が606万円、中央値が56万円、二人以上世帯の平均が752万円、中央値が238万円

【60代】

単身世帯の平均が1860万円、中央値が460万円、二人以上世帯の平均が2427万円、中央値が810万円

【70代】

単身世帯の平均値が1786万円、中央値が800万円、二人以上世帯の平均が2208万円、中央値が1000万円

横川さんは「平均値は数値が高い人がひとりでもいると金額が増えるので、どちらかというと中央値の方がより現実的な数字と言えます。つまり、30代でも二人当たりで中央値が約240万円分ですから、一人当たりで考えると約100万円くらいだとも言えます」と解説します。

貯金のやり方って?

横川さんは、貯金のやり方には3種類あると説明します。

① 先取(さきどり)貯蓄

② 後取(あとどり)貯蓄

③ ①と②のミックス

「貯金の方法」

「①先取貯蓄は、お給料が入ってきたタイミングで貯金をするというもの。②後取貯蓄は、お給料日前に余っているお金を貯金するという方法です」

その上で、気をつけるべきことについて、こう指摘します。

「注意しなければならないのが、先取貯蓄の場合、ハードルを高く設定しすぎるのも少し危険だということです。たとえば『毎月3万円貯金する』と意気込んでいても、少し無理している設定金額だと、日々変動する生活費の中で、『今月はちょっと生活費が足りないから、貯金から崩してしまおうかな…』と、生活費が足りないと気軽に貯金を崩す習慣がついてしまいます。後取貯蓄も、入ってきた分を使ってしまったら、貯金に回せるお金がありません」

そこで、横川さんがおすすめするのは、③の「①と②のミックス」だといいます。

「貯金が苦手、という人にもぜひやってみてほしいです。たとえば、後から追加することを念頭に置きながら、先取貯蓄は無理のない金額を設定して、お給料日前日に残った金額を後取りで貯金するという形です。先取りに加えて後からも貯金にお金を回すことで、月々の貯金額も増やすことができます」

貯金は続けることが何よりも大事なので、苦手な人ほど最初のハードルを下げてみましょう」

野口さんは、「習慣化」と「見える化」の2つのキーワードが大事だといいます。

「貯金も、勉強やダイエットと同じく、継続できるかどうか、いかに習慣化できるかがポイントです。毎週・毎月の貯金額の推移をアプリで『見える化』したり、貯金ができた時に達成感を味わえる成功体験を用意すると効果的だと思います。何かを続けるのが苦手・挫折しがちな方は、各銀行が作っているアプリや貯金アプリを活用して、自動化・仕組み化をするのがおすすめです」

目標に対して、お金がどれだけ貯まっているかを数字で可視化することで、やりがいや達成感につながるといい、自分で記録をつけたり、アプリを活用したりすることをおすすめします。

口座にいくらあればいい?

「貯金」と一言で言っても人によって「目標額」は違うものですが、最低でも口座にいくらあればいいものなのでしょうか。

横川さんは「入ってくるお金が人によって違うので、入ってくる以上のお金を貯めることはできませんし、いくらお金が必要かも人それぞれです」とした上で、「少なくとも手取りの3ヶ月分は『お金の防災袋』として絶対に手をつけないお金として残しておきましょう」と語ります。

貯金アプリってどんなもの?

野口さんによると、貯金アプリは大きく、

①銀行口座と連携できるもの…実際に口座内で貯金をしてアプリで管理するもの

②銀行口座と連携できないもの…現金で貯金している金額をアプリで記録管理するもの

ーーに分類できるといいます。

日本で初めての自動貯金アプリだという「finbee」は、①の銀行口座と連携ができるもの。アプリと連携した口座内に、専用の貯金口座ができるイメージで、「毎月給料日に3万円を先取貯金」など、自由に期日や金額、ルールを決め、その専用口座にお金を自動で貯めてくれます。「旅行用」「家賃先取り用」「ライブ遠征用」「車の税金用」など、目的ごとに分けて貯金できる「封筒貯金」のような機能もあるとのこと。決済アプリ・カード支払いがメインになっている今、現金を使わなくなった人にとって、アプリでキャッシュレス貯金できる点はメリットだといいます。

野口さんは、トレンドの一つとして、「推し貯金」が人気だと説明します。自分の「推し」のために貯金することを「推し貯金」といい、「推し」をテレビなどで見かけるたびにアプリを使って貯金するーーといった使い方をする人もいるといいます。

実際に「推し貯金」をしているという横川さんは「貯金をしていると、『私このくらい貯まってるよ』と銀行口座の残高や貯金額を見せることは普通しないと思いますが、目的が明確な『推し貯金』などの場合、『これくらい貯まったよ』と人と話しやすいなと感じます」と話します。

貯金アプリを使わずにできる貯金方法は?3つのコツとは?

横川さんがおすすめする、貯金アプリを使わないスタンダードな貯金方法は、まず貯金用の口座を作ることだといいます。

「すべて1つの銀行口座で管理をしているという方もいらっしゃるのですが、入ってくるお金も出ていくお金も同じ口座で管理をしていると、前月の口座残高より今月の口座残高が多くなるようにする、という方法くらいでしか貯金の管理ができません。

自分がいくら貯められているのかを把握するためにも、貯金用口座を作り、貯金として残していくお金はそちらにいれておくのがいいでしょう」

その上で、横川さんがおすすめする貯金の3つのポイントについてこう説明します。

①手取りの3ヶ月分以上は最低でも口座に残しておくこと

②貯金用口座を作っておくこと

③少額でも継続すること

「貯金のポイント」

「貯金というと、子どもや老後のためのずっと先の将来のライフイベントのためのものと思ってしまいがちなのですが、明日事故に遭って100万円が必要になるかもしれないし、来月家電が壊れて大きな買い物が必要になるかもしれません。将来のためだけではなく、より自分らしい生活を送るなど、家族や誰かのために使うお金を前もって少しずつ準備しているにすぎません。

あくまでお金は選択肢を増やすためのツールです。『貯金できるほどお金がない』『ちょっとしか貯金できてない』とネガティブに思ってしまう人も多いのではないかと思いますが、月1000円でも、ハードルを低くしてでも、まずは何より続けることが大事です。

より選択肢を増やしていくために、ぜひお金を貯める習慣づけをしていってほしいなと思います」

(この記事は、2022年6月27日に開催されたTwitter Spaces「#お金を話そう」の内容を一部加筆・編集しました)

TwitterSpaces「#お金を話そう」

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