auの通信障害、補償の判断基準は?過去には「請求額から700円差し引く対応」も。約款に明記されている

KDDIが提供する「au」の商品を扱うauショップ

7月2日から4日にかけて続いたKDDIの大規模な通信障害。

同社は4日午後4時、「音声通話・データ通信含め全国的にほぼ回復しています」と発表したが、同日夜の記者会見で、全面的な復旧の判断は5日夕方になるという見通しを示した。

auやUQ mobile、povoなどの携帯電話などが全国でつながりにくい状態になり、発生から約62時間以上経って、これらの障害についてはほぼ回復した。

そんな中、利用者などからは今後の補償が注目されている。

補償どうなる?現時点では「検討」

今回影響が出たのは、個人が利用する携帯電話だけではない。例えば、au回線を利用している気象庁の「アメダス」や貨物列車の運行の物流面など、私たちの暮らしの広い範囲に大きな影響があった。

「宅急便の配達人と連絡が付かずに困っている」などという声もSNSで多くみられた。

4日夜の記者会見で吉村和幸専務は「個人、法人の利用者のサービスの利用状況を確認したうえで、最終的な復旧の判断としたい」と述べた。

補償については、高橋誠社長が会見で言及。

NHKによると、補償については高橋誠社長が「カスタマーサービスにもたくさんの意見を頂いている」と断った上で、「いま一律に補償するという回答は持ち合わせていない。今回の障害の内容をもう少しみたうえで、補償について検討していく」と述べるにとどめた。具体的な補償については触れていなかった。

「個人、法人問わずご迷惑をおかけした」と改めて謝罪した上で、「お客様はそれぞれの契約で、サービスを提供しているのでその辺も配慮したい」とした。

過去の補償事例は?2013年には「料金から700円差し引く対応」も

今回のような大規模な通信障害は近年でも度々起こってきた。

例えば、2018年にはソフトバンクによる通信障害が発生。4時間半の間、通話やデータ通信ができなくなり、約3060万人に影響が出た。また、2021年にはNTTドコモによる通信障害で最大で29時間にわたり通話やデータ通信が利用しづらくなるなどし、約1290万人に影響が出た。

だが、この2社による過去の通信障害では、共に補償されることはなかった。

一方、今回大規模な通信障害を起こしたKDDIでは2013年にも、auの4G LTEに関わるデータ通信と音声通信が利用不可、または利用しづらい状況があった。

この時には対象の顧客に対し、通信料金の請求時、請求額から700円(税抜)を減算する形で補償していた。

約款では補償について記載。キーワードは「24時間以上連続で」

今回大規模な障害が生じたKDDI。その「au(5G)通信サービス契約約款」には損害賠償について、以下のように定めている

《当社は、au(5G)通信サービスを提供すべき場合において、当社の責めに帰すべき理由によりその提供をしなかったとき(その原因が協定事業者の責めに帰すべき理由による接続専用回線の障害であるときを含みます。)は、そのau(5G)通信サービスが全く利用できない状態(その契約に係る電気通信設備によるすべての通信に著しい支障が生じ、全く利用できない状態と同程度の状態となる場合を含みます。以下この条において同じとします。)にあることを当社が認知した時刻から起算して、24時間以上その状態が連続したときに限り、その契約者の損害を賠償します

2.前項の場合において、当社は、au(5G)通信サービスが全く利用できない状態にあることを当社が認知した時刻以後のその状態が連続した時間(24時間の倍数である部分に限ります。)について、24時間ごとに日数を計算し、その日数に対応するそのau(5G)通信サービスに係る次の料金の合計額を発生した損害とみなし、その額に限って賠償します。》

約款では、補償対象の基準として「通信サービスが全く利用できない状態にあること」と明記。さらに「24時間以上その状態が連続したとき」と時間の基準も示している。これに当たるかどうか、事業者のKDDIがどう判断するかによって、補償の有無が決まるとみられる。

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