6月にもかかわらず、連日の猛暑となった月末。
「暑さでギブだそうです」
そんな一言ともに投稿された写真が、注目を浴びている。
写っているのは、三毛猫。ただ、涼しい顔をしており、「暑さでギブ」の様子ではない。
暑さにバテていたのは、ネコではなくーー
お寺のロウソクだった。
まっすぐ立っているはずのロウソクは、暑さで「ぐで〜ん」と曲がり、土台となる燭台(しょくだい)にそって頭をもたげている。あと少しで床まで届きそうなほどだ。
写真をTwitter上に投稿したのは、「那須の長楽寺」(@nasu_chourakuji)のアカウント。
「本日6月29日ですが 位牌堂のろうそく君は 暑さでギブだそうです。」と添えて投稿した写真には、7月3日までに3.5万件のリツイートと13.4万件の「いいね」が殺到。
「ロウソクも茹だる暑さ」と驚いたり、「ネコちゃんもびっくり」「ネコが(ロウソクを)慰めているように見えます」と一緒に写るネコの様子を気にかけたりする声が相次いだ。
長楽寺(栃木県那須町)の住職の娘である女性に話を聞いた。
ロウソクが「ギブ」していたのは、檀家の位牌が並ぶ「位牌堂」。檀家の関係者がお参りに来たときに、位牌に線香をあげられるよう、ロウソクを立てた燭台を1つ、常時設置しているという。
「昨年も曲がったことがありましたが、そのときは7月下旬。まだ6月なのに暑さでロウソクが曲がるのは、いくらなんでも早すぎます。『異常な暑さだ』『もう夏が来たのかな』と思いました」
住職とともに位牌堂に行った12歳の三毛猫「ミー子」にロウソクを見せてみると、気になっている様子で、ロウソクの匂いをクンクンと嗅いでいたという。
「『なんだこれ?』と言いたげに、匂いでロウソクの正体を調べているようでした。少し呆れているような感じもしました」
気象庁によると、長楽寺に比較的近い栃木県の那須烏山では2021年6月、最も暑かった日の最高気温は29.5℃だった。
2022年6月は、中旬頃まで15〜27℃程度で推移していたが、全国的に猛暑に悲鳴が上がった25日以降は、35℃前後にまで上昇した。ロウソクが「ギブ」した29日は、35.7℃の「猛暑日」だった。
同じようにロウソクが「ぐで〜ん」と曲がった2021年7月は、30℃を超える「真夏日」続いていた。
「お寺に20本程度立てていたロウソクが、全て曲がってしまった日もありました」
長楽寺では、2021年夏に対策としてロウソクを太くすることを考え、すでに燭台を大きなものに買い替えた。ただ、まだ細いロウソクが残っているため、ロウソクを実際に置き換えるのは現状のロウソクを使い切ってからの予定だという。
避暑地として知られる那須町にある長楽寺。ただ、近年は暑さが厳しくなっており、ネコのための暑さ対策が課題となっているという。
「長楽寺には先住ネコの『ミー子』を筆頭に6匹のネコが暮らしていて、うち4匹は10年以上ここで生活しています。ここ1、2年はミー子たちにとって、『経験したことのない暑さ』です。
最近の猛暑で、ネコたちは『だらーん』『ぐでーん』としています。
ただ、従来は涼しい地域なので、ネコの暑さ対策はまだまだ手探りで、試行錯誤しています」
最近は、クーラーや扇風機をかけて温度調節したり、ペット用の冷感マットを敷いたりして、ネコが涼めるようにしているという。ネコの好物「チャオちゅーる」を水に溶かすなどして、水飲みが好きでないネコも十分に水分を摂取できるように工夫しているという。
〈取材・文=金春喜 @chu_ni_kim / ハフポスト日本版〉
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暑さで「ぐで〜ん」。バテてしまったのはお寺のニャンコ…ではなく、"あれ"だった