アメリカ最高裁は6月24日、中絶の権利を長年擁護してきた「ロー対ウェイド」判決を覆す決定をした。これを受けて、複数の州で中絶を禁止する法律が施行された。
この判決では、トランプ前大統領が任期中に指名した3人の最高裁判事全員が、「ロー対ウェイド」を覆す多数意見を支持した。
判決翌日の25日、共和党のメアリー・ミラー下院議員は選挙集会で、「白人の命」が守られたと述べ、トランプ氏を称賛した。
「アメリカのMAGA(アメリカを再び偉大な国にする、というスローガン)愛国者を代表して、感謝します。トランプ大統領、あなたのおかげで、白人の命が最高裁で歴史的な勝利をおさめました」
この発言について、ミラー議員の選挙対策本部は「準備していた原稿を読み間違えた。『生存権』と言うつもりだった」と、NBCに釈明した。
しかしミラー議員はこれまでも、発言が問題視されている。
シカゴトリビューンによると、ミラー議員は連邦下院議員に就任した後の2021年1月に、保守系女性団体のスピーチで、ヒトラーを称賛する発言をした。
この時には「たとえもいくつかの選挙で勝利しても、若者の支持を失えば、我々は敗北だ」「この点について、ヒトラーは正しかった。彼は、若者がいれば未来があると言った」と述べ、地元の有権者から辞任を求められた。
その後、ミラー議員は発言を謝罪したものの、「政敵によって歪曲された」とも主張した。
また、5月にテキサス州ユバルディの小学校での銃乱射事件が発生し、19人の児童が犠牲になった後には、銃規制を求める人たちを批判。
「我々の社会の信仰の柱、家族、そして自由を破壊する」「我々は、神の元へ戻らねばならない」と述べた。
保守派の中には、中絶禁止を白人人口を増やす方法と捉えている人たちがいる。
こういった考えは「民主党議員らが、白人をその他の人種や移民に置き換えようとしている」という白人至上主義的な陰謀論「グレイト・リプレイスメント(大々的な置き換え) と繋がっている。
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
中絶の権利を覆す判決は「白人の命の勝利」。共和党議員がトランプ氏を称賛