警察官による人種差別的な職務質問など、日本の「レイシャル・プロファイリング」の問題を調査・研究する会が6月、発足した。
日本で暮らす海外ルーツの人を対象にしたインタビューや、欧米を中心に海外の動向の研究などに取り組む。
研究会は、社会学者や移民政策に詳しい研究者、弁護士ら計9人でつくる。研究費は「日弁連法務研究財団」の助成を受ける。
レイシャル・プロファイリングとは、警察などの法執行機関が、人種や肌の色、民族、国籍、言語、宗教といった特定の属性であることを根拠に、個人を捜査の対象としたり、犯罪に関わったかどうかを判断したりすることを指す。
日本のレイシャル・プロファイリングの問題をめぐっては、見た目や国籍などを根拠に海外ルーツの人を対象にした人種差別的な職務質問が確認されている。
研究会の主任研究員の宮下萌弁護士は、「日本の警察によって海外ルーツの見た目がどう判断されてきたのか、公権力から監視の対象とされてきた当事者たちが何を感じ、どのような改善を求めているのかを明らかにしたい」とハフポスト日本版の取材に述べた。
研究成果はまとまり次第、公表するという。
警視庁は2021年3月、職務質問に関して「国籍や容姿等の見た目を捉えて差別的な発言は、絶対にしない」などと注意喚起をする文書を出した。
在日アメリカ大使館も同年12月、外国人が日本の警察からレイシャル・プロファイリングの疑いのある職務質問などをされたとの報告があったとして、日本で暮らすアメリカ国民に対して警告を出している。
国家公安委員会の二之湯智・委員長は2022年3月の参議院内閣委員会で、レイシャル・プロファイリングの問題をめぐって「警視庁の管内だけではなくて、全国的にどういうことなのかということもこれから調査をしていかなければならない」と発言。全国調査に前向きな姿勢を示した。
警察庁は4月から調査に乗り出し、2021年中に都道府県公安委員会に寄せられた職務質問に関する相談などを調べている。
(取材・文=國崎万智@machiruda0702/ハフポスト日本版)
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「公権力から監視の対象に」人種差別的な職務質問を調査、研究会が発足【レイシャル・プロファイリング】