神宮外苑再開発計画の見直しを求める署名が8万1142筆に達し、発起人のロッシェル・カップ氏が6月2日、署名と要望書を東京都庁に届けた。
100年近い歴史ある神宮外苑で、1000本近い樹木を伐採し、スポーツ施設や高層ビルを新設するというこの計画。
カップ氏は要望書で「今のままでは市民の共感を得られるはずがないのは明らか」「100年先の未来を見すえて、改めて都民の声に向き合ってほしい」と求めており、2日に東京都庁で開いた記者会見でも、慎重な見直しを訴えた。
再開発計画では、樹木伐採の他にも、軟式野球場やゴルフ練習場、フットサルコート、バッティングセンターなど、一般市民が利用できる公共性の高い施設が無くなる。
観光名所の4列いちょう並木は残るものの、新設される球場がギリギリまで迫るため、工事で根が傷つけられる可能性が指摘されている。
さらに、4列のいちょう並木途中から、ラグビー場へ向かう道に植えられている18本のいちょうは伐採される予定だ。
カップ氏は、この計画が東京都の都市計画審議会で承認された後の2月16日に見直しを求めるオンライン署名をスタート。
約半月で5万を超える署名が集まり、小池知事に届けたが、知事は再開発を容認した。しかしその後も署名数は増え続けており、5月に8万を突破した。
カップ氏は記者会見で、再開発は「愛着のあるスポーツ施設を全て廃止し、文化財クラスのスタジアムを壊し、樹齢100年を超える木々を含む大量の樹木を伐採し、いちょう並木やその景観をおびやかす」と語った。
小池知事は約一週間前の5月27日に、樹木伐採について「現在約1900本ある樹木も約2000本へと増やす」と説明している。
カップ氏はその言葉について「どんなに新しい木を植えて数合わせしても、100年の杜の樹木の代わりにはならない」と反論。
1100本植えれば1000本の大木を切ってもいいという考え方は、「緑の環境の質」や「文化財としての樹木」に対する認識が欠けていると訴えた。
そして、このまま計画を続ければ小池知事は「神宮外苑を破壊した都知事として皆の記憶に残る」と述べ、市民が参加できる形で、計画をゼロベースから見直すよう求めた。
神宮外苑の再開発には、SNSでも多くの反対意見が投稿されている。カップ氏は記者会見で署名が8万を超えたことについて聞かれ、「多くの人が神宮外苑を愛している証拠だ」と述べた。
「高校の時に軟式球場の試合に参加した、(神宮外苑で)ランニングすることが好き、いちょう並木の隣にあるカフェで結婚パーティーを開いた、長くスワローズファンで神宮球場に試合に行っている、天気が悪い時でも秩父宮ラグビー場で観戦するのが好き、など様々な観点から、神宮外苑に愛着を持っている市民が非常に多いです。その方々がこの署名をサポートしてくれて、感謝しています。どれほど神宮外苑を大事にされている証拠だと思います」
また、都庁での記者会見後、要望書を手渡すために、再開発事業者である三井不動産と明治神宮、日本スポーツ振興センター、伊藤忠商事を訪れた。
カップ氏によると、明治神宮、日本スポーツ振興センターは受け取ったものの、三井不動産と伊藤忠商事からは手渡しでは受け取れないと言われたため、郵送する。
カップ氏は今後も有志団体などと協力しながら市民が声を出せる場を作りたいと考えており、署名も続けていく予定だ。
<署名サイト>
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
「神宮外苑を破壊した都知事」にならないで。再開発計画の反対署名が8万に。小池知事に見直しを求める