5月から7月、梅雨をはさんでダニの繁殖ピークと言われています。対策はどうすればよいのでしょうか。
東京都健康安全研究センターが、都内の住宅10軒について、居間、寝室、寝具を対象にダニ(コナヒョウダニとヤケヒョウダニ)の繁殖状況を調べました(2016年10~11月)。繁殖のピークを過ぎていましたが、ダニの生体・死骸・糞などが採取されました。
採取されたダニの重量を測定したところ、1平方メートル当たり10,000ng(ナノ・グラム、1ngは十億分の1g)から1ngまで大きな幅がありました。採取場所別にみると、寝具>ジュウタン・畳>フローリングの順に多く、寝具が一番の繁殖源となっていることがわかりました。
ダニがいるからといって、直ちにアレルギーやぜん息を起こすわけではありません。WHO(世界保健機関)によるとチリの中のダニの量が問題で、チリ1g中にダニが2μg(マイクロ・グラム、1μgは百万分の1g)以上でアレルギーを起こす危険があり、10μg以上でぜん息発作を起こす危険があるとされています。
チリ1gの中のダニの重量を測定してみると、2μg以上が住宅10軒中9軒、10μg以上は10軒中6軒から検出されました。つまり、調査した住宅の6割からぜん息発作を誘発するレベルのダニが採取されたのです。
東京都福祉保健局『健康・快適居住環境の指針』では、「室内のダニ対策」として次のように具体的な対策をあげています。
(1)床面をダニが繁殖しにくい素材にする
▼床材はフローリングとし、カーペットを使用しないようにしましょう。
▼特に畳の上にカーペットを敷くと、通風が悪くなり畳が湿るのでやめましょう。
(2)床面への掃除機がけを行う
▼床への掃除機がけはできるだけ毎日行いましょう。少なくとも3日に1回は1平方メートル当たり20秒以上の時間をかけて丁寧に行いましょう。
▼掃除機がけは通常の吸引力(仕事率200W以上)のもので十分ですが、フィルターは高性能のものを使いましょう。
(3)ダニの生息場所を減らす
▼布製のソファーにも掃除機がけをし、カーテンは定期的に洗濯しましょう。
▼ぬいぐるみを置く場合は、こまめに洗濯するか、ビニール袋に入れましょう。
(4)寝具の乾燥と掃除機がけ
▼天気の良い日は布団を干し、よく乾燥させましょう。梅雨時期などは布団乾燥機を使用するとよいでしょう。
▼布団を干した後、布団を叩くとダニが浮かび上がるため、布団を干した後は必ず掃除機がけを行いましょう。
(5)寝具類の洗濯
▼シーツや布団カバーはこまめに取り替え洗濯しましょう。
▼布団を干せない家庭では、ダニの虫体や糞を丸ごと除去する布団の丸洗いが効果的です。専門の業者に頼んで1年に2回ぐらい行うとよいでしょう。
アレルギーを引き起こすのはダニだけでなく、花粉や食物などさまざまな要因がありますが、厚生労働省は「我が国全人口の約2人に1人が何らかのアレルギー疾患に罹患し、急速に増加している」と警鐘を鳴らしています。
住宅のダニは、工夫次第で減らすことができます。こまめに掃除機をかけるか洗濯をし、小さな子どもがいる家庭では床をフローリングに替えるのも効果的です。
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参考資料など
『東京都内の住宅におけるダニアレルゲン調査』(東京都健康安全研究センターなど、2018年)
『健康・快適居住環境の指針』(東京都福祉保健局、2017年)
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「ダニ」効果的な5つの対策はこれ。梅雨をはさんで繁殖ピークに