アメリカの人気歌手ビリー・アイリッシュは、11歳の頃に「トゥレット症候群」を診断されたと公表している。
メディアなどの公のインタビューで、自身のトゥレット症候群について詳細に言及したことはほとんどなかったが、5月に配信されたNetflixで人気トーク番組『デヴィッド・レターマン:今日のゲストは大スター』では、かつて周囲の人々の反応に傷ついたことがあったと話した。
発達障害ナビポータルによると、トゥレット症候群とは、多種類の運動チックと一つ以上の音声チックが1年以上にわたり続く精神神経疾患。運動チックとは、目をパチパチさせる、顔をクシャッとしかめるなどの突然に起こる素早い運動の繰り返し。音声チックとしては、咳をする、咳払い、鼻鳴らしなどがよくみられ、時には奇声を発する、さらには不適切なことばを口走ることもあるという。チックの特徴は、「このような運動や発声を行いたいと思っているわけではないのに行ってしまう」ことだ。
アイリッシュがトゥレット症候群を公表したのは2018年で、当時16歳だった。ネット上で、アイリッシュのチックの動画を編集したビデオが拡散され、一部で揶揄する声も広がったことを受け、インスタグラムのストーリーを通じて明らかにした。
2019年に『エレンの部屋』に出演した際には、「私がこれまで(トゥレット症候群について)何も言わなかったのは、それで自分を定義されたくなかったから」とした上で、「ファンの多くも抱えているとを知って、公表することへの抵抗が薄れた」と話していた。
Netflixの番組は、コメディアンで司会者のデヴィッド・レターマンの冠番組。レターマンと1対1でインタビューを受けていた最中に、アイリッシュが顔しかめるような動きを見せると、レターマンは「ハエでもいた?」と質問。
アイリッシュが「照明のせいで、収録が長ければ何度もチックが出る」と答えると、レターマンはトゥレット症候群について聞くことの許可をとった上で、インタビューを続けた。
アイリッシュは、「チックが出るとよく人から笑われる。私がふざけて変な動きをしていると思われる。その度にとても不愉快な気分になる」と明かした。
また、アイリッシュが出会ったアーティストの中にもトゥレット症候群の人がいたという。
「この病気の人は多いけど気づかれない。数人のアーティストからも同じ病気だと言われたことがある。『話したくないから隠している』と」
レターマンは、アイリッシュに話してくれたことに感謝を伝えながら「私は無知だった」と告げると、アイリッシュはこう答えた。
「このことについて答えるのは好きです。とても興味深い病気だから。私もいまだに戸惑いを覚えているし、理解しきれていないんです」
アイリッシュは自分の症状について、「日常的に出ている」とし、「一日中耳を前後に動かしたり、眉毛を上げたり、あごを鳴らしたりするものなんです。腕や筋肉を動かしたりする。話しているだけでは、相手は気がつかない。でも私にとっては疲れきってしまう」と説明した。
「トゥレット症候群が好きなわけではないけど、私の一部だと感じる。受け入れて、自分に自信をもてるようになった」と心境の変化を明かしている。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
ビリー・アイリッシュ、トゥレット症候群を笑われ傷ついた過去。チックの症状「ふざけてる思われる」