米スターバックスは現地時間の5月16日、アメリカ国内の従業員が人工妊娠中絶や性別適合手術を希望した際に旅費を負担することを発表した。同国内の従業員数は約24万人。
中絶禁止の問題にアメリカ全土が揺れる中、Amazonやマイクロソフト、アップルなども同様の支援策を打ち出している。
AP通信などによると、対象となるのは、中絶や性別適合手術を希望し、自宅から100マイル(160km)以内でそれらのサービスを受けられない場合だ。スターバックスの医療保険に加入している従業員の扶養家族も、この助成制度を利用できる。
なぜ支援に乗り出したのか?
きっかけは5月2日、アメリカ連邦最高裁判所が「妊娠中絶は女性の権利」と認めた1973年のロー対ウェイド判決について、覆す見通しであることを示す草案の内容が報じられたことだ。
同社幹部のサラ・ケリー氏は、従業員に向けた声明で「多くの皆さんと同様、ロー対ウェイド判決によって初めて確立された人工妊娠中絶の憲法上の権利に関する最高裁の意見書の草案に深い懸念を抱いています」との見解を示した。
その上で、「最高裁が最終的にどのような判断を下すかにかかわらず、私たちはパートナーが常に質の高い医療にアクセスできるようにします」と記している。
スタバのように、中絶を希望する従業員をサポートする企業の動きは広がり始めている。
Amazonは、中絶や性別適合手術などの治療を受ける従業員の旅費と宿泊費を最大4000ドル(約52万円)まで負担する。
この手当は2022年初めから実施されており、スタバと同様に従業員の自宅から160km以内で治療を受けられない場合に適用される。
テスラは5月初め、州外で中絶手術を受けようとする従業員の旅費を負担すると発表した。
シティグループやアパレルのリーバイ・ストラウス社(リーバイス)などは、妊娠6週以降の中絶を禁止する法律が2021年にテキサス州で制定されたことを受けて、中絶を希望する同州の従業員の旅費を肩代わりすることを表明している。
一方、ウォルマートやディズニー、フェイスブックといった他の大企業のほとんどは、草案に対して立場を示さず沈黙を続ける。
スターバックスは、アメリカ国内の店舗における労働組合結成の動きに反対するキャンペーンを強化。労組を結成した店舗について、新たな福利厚生の適用外とする見解を同社CEOが示し、波紋が広がっていた。
中絶にかかる今回の手当制度は、組合を結成した店舗の従業員も対象となると説明した。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
スタバ、中絶を希望する従業員の旅費を負担へ。企業の支援策が相次ぐ アメリカ