サッカー部員への暴行容疑で30代の男性コーチが書類送検された熊本県の秀岳館高校が5月5日、記者会見を開き、部員による謝罪動画がTwitterに投稿された経緯などについて説明した。
謝罪動画は部員が自主的に行ったとされていたが、実際は監督が立ち会いや指示をしていたことが明らかになった。
この問題のきっかけは、4月20日ごろ、男性コーチが部員を暴行する様子が映った動画がネット上に投稿されたことだ。メディアで報じられ学校への批判が殺到した。
その後、サッカー部の公式Twitterに、部員11人が顔や名前を明かして騒動を釈明、謝罪する動画が投稿された。被害者である部員を問題の矢面に立たせる対応はさらなる批判を呼び、謝罪動画は削除された。
サッカー部の段原一詞監督は当初、動画は部員のみで撮影され、投稿後に事実を把握したと熊本日日新聞の取材に説明していた。
謝罪動画はどのような経緯で投稿されたのか。
学校側の説明によると、部員4人と監督が4月21日夜に話し合いをし、対策として動画を撮影・投稿する案が出たという。監督が他の部員にも協力を呼びかけ、撮影役の部員を含めて12人で動画撮影に臨んだ。
監督は、撮影方法や内容について「4人ではなく、みんなで出たほうがいい」「こういうポイントで撮りなさい」などと部員に伝えたという。
監督はさらに「悪いことをしているわけではないから、マスクもとって、名前も言った方がいい」と動画の撮り直しも指示。その内容を確認し、サッカー部の公式SNSで投稿することを部員に許可したという。
学校側は、複数の部員からこうした証言があったと説明。「(最初の)話し合い自体は生徒側の申し出だったと認識している」と述べた。
記者会見には段原監督も出席。記者からは、動画撮影のポイントや顔と名前を出すよう伝えた経緯や理由についての質問が相次いだ。
これに対して監督は「話し合いの中でそういうことが出てきたので、賛同しました」などという説明を繰り返した。
動画の存在を投稿後に知ったと説明していた意図を問われると「生徒から(話し合い)の申し出があったので、僕があらかじめ知っていたとなったらいけないと思って、そう回答しました」などと釈明。「(部員を)尊重してきたということが全てで、隠したわけでありません。結果こうなったことをお詫びします」と陳謝した。
白井勇教頭は、監督の対応について問われ「生徒が顔を出して、自分の名前を言うという、殴られた側の被害者生徒が謝罪することはあってはならない」と述べた。
学校側はまた、問題を受けて実施した全生徒対象のアンケート調査の結果、サッカー部に関する暴力行為の報告が38件あったことも明かした。
そのうち、書類送検された30代の男性コーチに関する報告が24件。複数の生徒に対する暴力行為の報告だったという。生徒間での暴力行為の報告も13件あったと説明した。
学校側は生徒のプライバシーを理由に具体的な内容は明かさなかった。
学校側は、暴行事件を起こしたコーチについて、刑事処分を待って対応を検討するという。
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秀岳館サッカー部の謝罪動画、投稿された経緯は?監督が関与・指示していた(記者会見)