科学者たちが気候変動対策を求め「反乱」。「私たちは無視され続けてきた」

世界各国の科学者たちが「市民的不服従」の形で、気候変動対策の遅れに抗議をしている。

アメリカ・ロサンゼルスでは4月6日、4人の科学者たちが腕をチェース銀行の扉につないだ(2020年の報告書によると、JPモルガン・チェースは他の銀行よりも化石燃料に投資してきた)。

その1人、NASAで生物系・気候変動の研究をしているピーター・カルムス氏は「私たちがここに来たのは、科学者たちの声に耳を傾けてもらえていないからです。私は、この美しい惑星と自分の息子たちのためにリスクを取りたい」と言葉を詰まらせながらと訴えた

「私たちは何十年も、大惨事に向かっていると警告してきました。そして無視され続けてきました」


https://twitter.com/ClimateHuman/status/1513564975524024323?ref_src=twsrc%5Etfw

カルムス氏のツイート:挑戦できたことを感謝しています 。

LAistによると、科学者たちはこの後、暴徒鎮圧用の装備をしたロサンゼルス警察に逮捕された。

ワシントンD.C.では、土壌科学者のローズ・エイブラモフ氏らが、ホワイトハウスのフェンスに自分の体を縛り付けて、気候変動対策を取るよう求めた。

x.com

フォード・フィッシャー氏のツイート:今日の午後、科学者のローズ・エイブラモフ氏を含む気候活動家らが自分達の体をホワイトハウスのフェンスに縛り付けて、バイデン大統領に「気候非常事態」を宣言するよう求めました。

エイブラモフ氏は「これまで、自分の信頼性の損わないために、偏った意見を言わないようにと言われてきました…。しかし、真実を伝えることは、政治的ではありません」とEartherにコメントしている。

「この地球の生き物たちの居場所を守り、そのために尽くすことは、政治問題ではありませんし、そうなるべきでもありません。私は自分の知ることについて、見て見ぬふりはできません」

エイブラモフ氏も、この抗議で逮捕された。

IPCCの報告書を無視するな

抗議活動を開催したのは、科学者と活動家たちによる国際団体「サイエンティスト・レベリオン(科学者の反乱)」だ。4月に国連気候変動政府間パネル(IPCC)の最新報告書が公表された後に世界各地で声を上げており、これまでに世界25カ国以上で約1000人が参加している

このIPCCの報告書で、科学者たちは「3年以内に、世界的な温室効果ガスの排出量を減少に転じさせなければ、世界の平均気温の上昇を1.5℃に抑えるのは難しい」と警鐘を鳴らしている。

しかし各国政府の取り組みは遅れており、イギリス政府は3月に、北海での石油とガス開発を続けると発表した。

この発表後の4月13日には、25人の科学者たちがロンドンにあるビジネス・エネルギー・産業戦略省の窓に学術論文や自分の手を貼り付けて抗議した

ビジネス・エネルギー・産業戦略省の外で抗議する活動家たち(2022年4月13日)

その1人、生態学者のアーロン・ティエリー氏は、「政府はどうかしている。注目を集めて人々を目覚めさせるために、他にやる方法が思い浮かばない」と語っている。

x.com

ダミアン・ゲール氏のツイート:「政府はどうかしている。注目を集めて人々を目覚めさせるために、他にやる方法が思い浮かばない」と話した、生態学者のアーロン・ティエリー博士。ScientistsForXとともに、強力接着剤でガラスに手を貼り付けた

またスペイン・マドリードでは、活動家たちが政府の対策不足に抗議するために環境移行省の壁にIPCCの報告書を貼り、血に見立てた赤い塗料をまいた。

サイエンティスト・レベリオンは、このデモに参加した約100人の科学者のうち、53人が逮捕されたと報告している。

スペイン・マドリードで、警察によって拘束される抗議活動の参加者たち(2022年4月6日)

参加者の1人でスペイン国立学術会議の研究教授フェルナンド・ヴァラダーレス氏は「将来だけではなく未来が危険にさらされています」とユーロ・ニュースにコメントしている。

「私たちの心と体の健康が、危機に瀕しているのです。穀物の不作、移住、海洋洪水、これ以上、何を知る必要があるでしょうか?」

オランダ・ハーグでの抗議活動

x.com

ドイツ・ベルリンでの抗議活動

x.com

スイス・ベルンでの抗議活動

x.com

イタリアでの抗議活動

x.com

エクアドル・キトでの抗議活動

x.com

シエラレオネでの抗議活動

x.com

ハフポストUS版の記事を翻訳・加筆しました。

…クリックして全文を読む

オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
科学者たちが気候変動対策を求め「反乱」。「私たちは無視され続けてきた」

Hilary Hanson