ロシアのウクライナ侵攻に対し、世界各国が行っている経済制裁ですが、実際にはどのような効果がでているのでしょうか?これについて、国際情勢などに詳しいジャーナリストのジョニー・ハリス氏が解説しています。
ハリス氏は、現在ワシントンDCに拠点を置くアメリカの国際・地政学ジャーナリストです。米国のアカデミー賞やグラミー賞に匹敵する、テレビ業界の功績を称える「エミー賞」に2度もノミネートされた人物で、現在はYouTubeを中心に活動中。チャンネル登録者数は250万人を突破しています。
*Category:テクノロジー Technology|*Source:Jonny Harris ,Reuters
ジョニー・ハリス氏はまず「経済制裁とは、目に見えない武器だ」と話します。その内容は、政府が作成したリストです。
これらのリストには、人の名前と住所、そして偽名、誕生日、納税者番号、その他にもその人物と関連する可能性のある人物がまとめられています。人以外にも、原油や液化天然ガスや石炭、アルコール飲料、ダイヤモンドや高級品といった産業や製品が載っています。
つまり制裁とは、制裁を行う国への入国を禁止する人や物の巨大なリストなのです。では、これらのリストは実際に、どのように世界経済に影響を及ぼすのでしょうか?
まず、制裁以前のロシアを見てみましょう。流通を図で表すと、ロシアは様々な方法で、経済的に世界とつながっていたことがわかります。
青は、ロシアが石油、金、石炭など他の国々に輸出するものすべてです。オレンジは、逆にロシアが輸入する、アメリカからのiPhone、ドイツからの車などです。
緑は、企業が外国の銀行から借りるお金や、ロシア政府が米ドルやユーロに換えて、必要な時に備えて蓄えておくお金です。つまりロシアは、他の国と同じように、世界経済と強く結びついていたのです。
しかし、数週間前、ロシアがウクライナに侵攻しました。これに対して欧米側としては「他国を武力で侵略することは許されない」ということを示さなければいけませんが、昔のように軍事的な制裁を行うことはできませんでした。双方が人類滅亡に繋がりかねない核兵器を所有しているからです。
そこで、いわゆる西側諸国は代わりとして経済制裁に踏み切り、自国に入れない人や物などのリストを作ります。ここで期待されているのは、制裁がドミノ効果を生み、戦争の行方を変えることです。
実際の輸入品を見てみましょう。EUが最初に行ったことの1つは、自国がロシアに高級ブランド品を売ることを禁止することでした。例えば、グッチやアルマーニといったブランドは、ロシアから一時撤退しています。
こうしたつながりを断ち切ったのは、EUだけではありません。シンガポールは電子機器やコンピュータの販売を禁止し、マイクロチップを製造している台湾は、その企業がロシアにマイクロチップを販売することを禁じました。
また、マクドナルドやイケア、Appleなどの有名な企業も撤退しており、Netflixもロシアでのサービス提供を中断しています。
同じことが逆にも起こり始めています。ロシアは石油とガス、そしてあらゆる種類の化石燃料に関する巨大な輸出国です。しかし、西側諸国はこれらを輸入することを禁じました。
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ロシアへの経済制裁は本当に効果があるのか?その影響と真意をジョニー・ハリスが解説