ロシアのウクライナ侵攻に対して、欧米を始めとするはロシアにありとあらゆる分野で制裁を与えています。この制裁が今後のロシア経済にどのような影響を及ぼすのかについて、経済社会を解説するYouTubeチャンネル「Logically Answered」が解説しています。
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現在ロシアでは、ボーイング、トヨタ、AppleやGoogle、Facebook、TikTokなど大企業の撤退を始め、エネルギー分野などの企業も営業停止や事業撤退が行われています。また金融面では「SWIFTからの締め出し」という大きな制裁が行われました。
では、ロシア経済はこれらの制裁により、実際にどれほどのダメージを受けているのでしょうか。一般消費者の目線からすると、海外旅行ができなくなったり、特定の外国製品が買えなくなったりする程度と思うかもしれませんが、実際はもっと大きな影響を及ぼします。
まず、ロシアで起こるのが急激なインフレ(物価上昇)です。通貨の価値は通常、その通貨(ロシアではルーブル)を必要としている人の数に依存します。 ロシアのようにたくさんの商品を輸出している国では、多くの外国や海外企業がロシアの商品を購入するためにルーブルを必要としていました。
しかし、ロシア製品の輸入がブロックされれば、ルーブルの需要は落ちてしまいます。対して、海外からの輸入品を必要とするロシアの消費者の数は変わらないため、結果として外貨の価値上昇=ルーブルの価値暴落を招くのです。
実際、この1ヶ月の間に、ロシアの通貨「ルーブル」の為替レートは1ルーブル1.41円から、最低で0.85ルーブルまで暴落。つまり、ルーブルは1円に対して4割近くも価値を失ったことになります。
ロシアは輸入品を制限することでこのインフレを制御しようとしていますが、世界経済が複雑に絡み合っている今、完全に世界経済から自立することは困難です。
さらに、制裁によってルーブルの価値が暴落するだけではなく、保管していた外貨にアクセスすることも困難になりました。ロシアの中央銀行は、2014年以来6,300億ドルもの外貨を保有していると言われていました。これは、インフレからロシアを守るための戦略的な動きでしたが、このような制裁を受けると、このお金にアクセスすることすらできないのです。
これにより、ロシアが活動資金を調達することは難しくなっており、ロシアの銀行は銀行破綻を防ぐために躍起になっています。
その対策の一つが、金利の9.5%から20%への引き上げです。ロシアは、20%という超高金利によって国民が銀行にお金を預け、銀行倒産を回避できることを期待しています。しかし状況はまだ極めて不安定であり、ロシアの金融システムは1つのきっかけで破壊されかねない危険な状態です。
もしロシアが本格的な金融崩壊を回避できても、日用品が40%も値上がりしたために、ロシア国民は今後数年間は大幅に上昇した生活費に耐えなければなりません。
多くのロシア国民にとってこれは、貯蓄を切り崩すし、いずれ破産することを意味しています。一方、企業も生き残る為に商品の値段を上げなければなりませんが、値段をあげると消費が減り、企業の倒産に繋がる恐れがでてきます。
また、インフレによって従業員が必要とする給料が一気に上がるため、企業は雇用に関しても保守的になります。場合によっては、大規模なリストラをする可能性もあるでしょう。そして残された従業員の仕事量は大幅に増加し、失業率も劇的に増加することとなります。
失業者が増えれば、消費者がお金を使わなくなり、そして企業の収益が減り、それがまた解雇に繋がります。このようにして、負のスパイラルが繰り返されるのです。
しかし、ロシアが今経験しているインフレは、ほんの始まりに過ぎないのかもしれません。約25年前の1998年にロシアは、国内債務不履行に陥り、ルーブルの価値が落ちた事による経済破綻を経験しています。
最悪の場合、ロシアは第一次世界大戦後のドイツ並みのハイパーインフレに突入する可能性もあるのです。
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ロシア国民を待ち受ける「残酷な現実」ルーブル大暴落で生活どうなる
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