2021年に、FOXからライバルのCNNに移籍した放送ジャーナリストのクリス・ウォレス氏が、「2020年大統領選の後、FOXの報道がどんどん擁護できないものになった」とニューヨークタイムズに明かした。
同局が報じる政治的な陰謀論にも危機感を感じ、「FOXの番組制作に居心地の良さを感じられなくなった」という。
ウォレス氏がFOXニュースに加わったのは2003年。長年仕事環境に満足していたものの、2020年11月にドナルド・トランプ氏がアメリカ大統領で敗北して以降、局内での変化を感じるようになったという。
「保守やリベラルなど、さまざまな意見があるのは良いことだと思います」「しかし、2020年の選挙の本当の勝者は誰なのか、1月6日の出来事(アメリカ国会議事堂襲撃事件)は本当に暴動だったのか――など、FOXの人々が事実を疑問視するようになった時、これは擁護できないと思いました」と、ニューヨークタイムズに語る。
ウォレス氏は、FOXのドキュメンタリーシリーズ『Patriot Purge(愛国者の粛清)』にも危機感を抱いていたという。
『Patriot Purge』はFOXニュースのタッカー・カールソン氏のドキュメンタリーシリーズで、「アメリカ国会議事堂の暴動は、極右を悪者扱いするための偽旗作戦だ」などの、根拠なき陰謀論を展開している。
このシリーズには局内外からの批判が起き、FOXニュースのジェラルド・リベラ記者は、「扇動的で言語道断、裏付けがない」と酷評した。
ウォレス氏もこのシリーズについて「経営陣に直接問題提起した」と、ニューヨークタイムズに明かしている。
こういった変化から、ウォレス氏は「仕事が満足にできなくなり、2021年の大半は、新しい職場を探した」と移籍理由を説明する。
カールソン氏を含めたFOXニュース解説者の中には、ウクライナに侵攻したプーチン氏を擁護するような発言をする人もいる。
ウォレス氏は、そういった発言について感想を求められ、「FOXをやめた理由の一つは、そういったことすべてを忘れたかったからだ」と語った。
ウォレス氏が司会するCNN+での新しい番組「Who’s Talking to Chris Wallace?」 は3月29日にスタート。伝統的な政治の範囲を超えた、さまざまなゲストを招く予定だという。
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。
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陰謀論を報じるFOXを「擁護できなくなった」。人気司会者が移籍理由を明かす