車といえば、ガソリンエンジンで二酸化炭素(CO₂)を排出しながら走るもの。今、その常識を変え、走行時にCO₂を出さないEV(電気自動車)など電動車への移行が進もうとしています。EUはガソリンエンジン車の新車販売を2035年に禁止することをめざしています。
日本の自動車産業にはガソリンエンジンを使った車の生産で世界を牽引してきた栄光の歴史があります。エンジンと電気モーターを併用して燃費を向上させるトヨタ自動車のハイブリッド車などいまも高い技術力を誇っています。
一方で、欧州は軽油を燃料とするディーゼル車を強みとしていましたが、2015年に汚染物質の排出を少なく見せかけていた問題が明るみに出て、一転してEVに舵を切りました。世界が脱炭素をめざす流れの中で、EVシフトの牽引役になりつつあります。 米国・バイデン政権も2030年に「排ガスゼロ車」を新車販売の半分に引き上げる目標を掲げました。
世界的にエンジン車への逆風が強まるなか、日本政府も「2035年までに新車を100%電動車にする」という目標を打ち出しました。しかし、EUとは異なり、この「電動車」には、エンジンを搭載するハイブリッド車も含まれています。思い切った“EV化“に踏み切れない理由は一体どこにあるのでしょうか。
「世界経済のゲームチェンジが起きている」
EUが先頭に立つEVシフトの背景をそう読み解くのは、脱炭素時代の自動車ビジネスを展望した著書「モビリティ・ゼロ」のある深尾三四郎さんです。CO₂の排出削減と経済的な利益を結びつける欧州発の新しいルールに、日本はどう対応していくべきか。議論を深めていきます。
2021年秋に英国・グラスゴーで開かれたCOP26(国連気候変動枠組み条約締約国会議)では、2035年までに世界の主要な市場で、2040年までには世界全体で販売する新車すべてをCO₂を出さない「ゼロエミッション車」にする声明に20カ国以上が署名しました。日本は合意を見送っています。
「サインしないのに驚きました」
現地に滞在していた気候変動アクティビストの酒井功雄さんは違和感を隠しません。「そんなに速く移動する必要が本当にあるのだろうか」。交通手段への問題意識を語る酒井さんは、米国・インディアナ州のアーラム大学に通う学生です。買い物に行くにも車が欠かせない環境で生活していますが、生まれ育ったのは東京。公共交通機関の発達している大都市と地方における車の存在感の大きな違いも肌で感じています。
脱炭素社会へと向かうには、車を減らしたり、車に乗る機会を減らしたりできる仕組みづくりも重要です。新たな可能性はどこにあるのでしょうか。深尾さんの専門である「ブロックチェーン」もキーワードになるかもしれません。深尾さん、酒井さんの2人のゲストとともに、移動の未来、街のあり方について考えていきます。
<番組概要>
番組は無料です。時間になったら自動的に番組が始まります。
配信日時:3月28日(月)夜9時~配信(60分)
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EVシフトが問う自動車業界の“ゲームチェンジ”。カーボンニュートラルと「移動の未来」【ライブ配信】