電車や自動販売機、チョコレートやナス、アルパカやオタ活する人まで、ドット絵がずらりー。
「ファミコン世代にはたまらない(笑)」「粗ドットのレトロ感めちゃ可愛い」「第2のいらすとやさん!」
2022年2月2日にオープンした、粗いドット絵・通称「粗ドット」を無料で使い放題できるサイトが話題になっています。
その名も「DOTOWN(ドッタウン)」。
サイトを運営するのは、元任天堂デザイナー・前田高志さん( @DESIGN_NASU )のオンラインサロン「前田デザイン室」。
サイトには、前田さんやメンバーらがデザインした約700種類の「粗ドット」がずらりと並びます。ドット絵は誰でも無料でダウンロードでき、商用としても利用可能といいます。
早速サイトを見てみましょう。
サイトを開くとすぐに、ドット絵が顔を出します。
電車だけでも青や赤、黄色など、カラフルな絵たちが並びます。
山手線や京浜東北線を模したと思われるものも。
同じデザインの先頭車や中間車、後尾車もあり、つなげて遊ぶこともできそうです。
人のドット絵もたくさん。
前田デザイン室によると、「一般的なドット絵とDOTOWNで採用している『粗ドット』は、似て非なるものです」とのことですが、レトロな雰囲気で、「マリオ」など、ファミコン時代のゲームを思い出しちゃいます。
しかも、お嬢様や郵便屋さん、ラッパーまで多種多様。
オタ活する人だけでも、2月23日時点で3種類もあります。推しの色に合わせて緑や黄色、ピンクのサイリウムを持つ人が用意されており、こだわりの強さが伺えます(著者の推しは紫とオレンジなので、前田デザイン室さん、ぜひ追加をお願いします…!)。
まだまだ細かい遊び心が。
りんごだけでも、真っ赤なものと青りんごが用意されています。
色を変えると、お酢が醤油になっちゃうのも面白い…!
バナナも、食べる前のものと、皮をむいたものまで。なんでもあるやん…!
約700種類もあって、目移りしちゃう…。そんな時には検索がおすすめ。キーワード検索のほか、カテゴリー検索は「季節・イベント」や「人物・キャラクター」など、12種類に分けられており充実しています。
検索画面もかわいい…!
「食べ物」は、お菓子からおかずまで盛りだくさん。レトロな雰囲気のチョコレートシリーズには、子ども心がくすぐられちゃいます。
「オモロ系」はなかなか個性が強いメンツ…!
ハフポスト日本版は、前田デザイン室の前田高志さんに取材しました。
ー前田デザイン室とはどんな集まりか、教えてください。
前田デザイン室は「仕事ではできないクリエイティブ」を楽しむ集団です。よく勘違いされるのですが、僕たち前田デザイン室は会社ではありません。「オンラインサロン」といって、メンバーは月額制の会費を払って加入してくれています。
ー「DOTOWN」のプロジェクトが立ち上がったきっかけを教えてください。
前田デザイン室のメンバーが、「インスタグラムを盛り上げたい」と、申し出てくれたことがきっかけです。
「じゃあ、2018年のコミュニティ開設当初からメイングラフィックとして採用している、粗ドットをメンバーで作って更新していこうよ」という話になりました。
加えて、ただインスタグラムの投稿としての素材を増やすだけでなく、このドット絵をもっと広げたいとも考えていました。そこで、「ドット絵をダウンロードできるサイトも作ろう」とメンバーに提案しました。
今回公開したドット絵は、僕や約60人のメンバー、過去に前田デザイン室にいた方が作ったものです。粗ドットは規則性さえ理解すれば、あらゆるツールであらゆる人が作ることができます。クオリティの差が出にくく楽しめるため、コミュニティでのプロジェクトに最適でした。
ー今回、700種類ものドット絵を無料開放した思いは。
無料にした理由についてですが、先ほども触れた通り、僕たちの活動は仕事ではないことが背景にあります。コミュニティとして、ファーストプレイス(家庭)やセカンドプレイス(職場や学校)でない「サードプレイス」であることを大事にしています。そのため収益を得ることを目的にすると、サードプレイスとしての価値がなくなると考えています。広く使ってもらうことが1番の宣伝であり利益に繋がります。
ー公開しているもので、特にお気に入りのドット絵があれば教えてください。
1つ目は「うんちマン」です。
使い所がなく、いい意味で意味不明だからお気に入りです。SNSで1番反応がよかったのも、うんちマンでした。仕事だったら、うんちマンなんて絶対に作れません。仕事じゃないクリエイティブをする前田デザイン室らしさがでていると思います。
2つ目は「獅子舞」です。
獅子舞の首とキョトンとしている感じが、なんとも言えない可愛いらしさがあります。
ードット絵の魅力や、心惹かれる理由などを教えていただければ幸いです。
ドット絵の魅力について。まず一般的なドット絵とDOTOWNで採用している「粗ドット」は、似て非なるものです。僕が粗ドットを着想したのは、ゲームグラフィックスはリアル傾向にあり、それを進化としているけれど、逆に粗く抽象化することでキャラクターが魅力的に見えるという進化もあるのではないか? と考えたことがきっかけでした。
粗ドットにすると、ドットの数に制約があり、目や口の位置が絵的に見たらいい位置におけないので、間が抜けた感じになります。でもそれが可愛らしくて魅力に繋がっています。
ドット絵はブロックや積み木を想起しますよね。ブロックや積み木は、誰しもが子どものころ遊んだことがあるでしょうから、昔楽しかった記憶を呼び起こして心惹かれるのかもしれません。
ーTwitterなど、インターネット上で反響が広がっていることについて、ご感想を教えてください。
DOTOWNのチームが喜んでくれていることと、DOTOWNが広く知られることによって前田デザイン室内が盛り上がっているので嬉しいです。
またDOTOWNを通して、デザインが一般生活に広がっている様子は、僕が日頃から行っている「広がれデザイン」を合言葉にしたデザインの啓蒙活動にもつながっています。その点でも喜ばしく思っています。
最後に、前田さんに伝えたいことを伺うと「私たちの予想を遥かに超えた問い合わせがあり、日々嬉しい悲鳴をあげています。規約のアップデート含め、なるべく多くのみなさんに使っていただけるようにしていきますので、気長にお待ちいただけると嬉しいです。粗ドットの点数も私たちの無理のないペースで増やしていきたいと考えています。
また、教育分野を中心に企業とのコラボレーションも進めていきます」と、今後の展望を教えてくれました。
〈取材・執筆=佐藤雄( @takeruc10 )〉
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
「ファミコン世代にはたまらない」と話題に。ドット絵700個が使い放題の「DOTOWN」ができるまで【画像集】