乳がん検診の受診を呼びかける「ピンクリボンデザイン大賞」の過去の複数の受賞作品をめぐり、キャッチコピーやデザインに波紋が広がっている。企画を主管する公益財団法人「日本対がん協会」は2月21日、公式サイトでコメントを公開。「お気持ちを傷つけてしまった患者さんやご家族のみなさまにお詫びを申し上げます」と謝罪した。
公式サイトによると、ピンクリボンデザイン大賞の企画は2005年に第1回が開かれ、毎年開催されている。「乳がんの早期発見の大切さを伝え、検診受診を呼びかけるとともに、正しい知識の習得と自分に合った適切な行動を促す作品」を募集している。
日本対がん協会や朝日新聞社などでつくるピンクリボンフェスティバル運営委員会が主催し、厚生労働省、 東京都、 日本医師会などが後援している。
問題となっているのは、グランプリや優秀賞、佳作などに選ばれた過去の複数の作品だ。
第17回(2021年)のポスター部門でグランプリに選ばれた作品は、福引を模した胸のイラストが描かれ、「『まさか、私が』と 毎年9万人が言う」との文字が書かれている。
乳がんが検診によって見つかることと、「くじで(がんを)引く」ことを連想させるようなデザインになっており、「がんサバイバーに対する配慮が見られない」「腹立たしい気持ちになった」など批判の声がネット上で上がっていた。
このほか過去の受賞作品の中には、女性の体を他人の所有物のように思わせる表現や、性別役割分担意識を助長するような内容なども含まれていた。
2つの人形を並べ「おまえひとりの、おっぱいじゃないんだぞ。」というコピーが書かれた作品は2016年に入選。
手作り弁当の上にピンクリボンのマークが描かれ、「僕の健康は、母の健康で成り立っている。」とのメッセージがつづられた作品は、2017年に東京都知事特別賞に選ばれている。
「またカレシの話かと思ったら 今日の自慢はちょっと違った」(2019年)、「ウエストよりも気にしてほしい」(2011年)など、性差別的な表現も議論を呼んでいた。
同協会はお詫び文の中で、入選作品の問題点を指摘する多くの意見が寄せられていることについて「選考の責任はわたくしども協会にあり、お気持ちを傷つけてしまった患者さんやご家族のみなさまにお詫びを申し上げます」と謝罪。「偏った価値観に基づいて作品が選ばれている」との批判を受けたとして、「ご意見を真摯に受け止め、よりよい啓発活動のあり方を探ってまいります」とコメントしている。
ハフポスト日本版は「ピンクリボンデザイン大賞事務局」と日本対がん協会に取材依頼をしており、返答があり次第、追記する。
日本対がん協会が公式サイトに掲載したコメント全文は以下のとおり。
<コメント全文>
日本対がん協会が主管するピンクリボンデザイン大賞は、乳がんの早期発見の大切さを伝え、検診受診を呼びかけるとともに、正しい知識を習得していただき、ご自分に合った適切な行動を起こしていただくことを目的に実施しております。しかしながら、これまでの入選作品に対し、問題点を指摘する多くのご意見が寄せられております。選考の責任はわたくしども協会にあり、お気持ちを傷つけてしまった患者さんやご家族のみなさまにお詫びを申し上げます。また、偏った価値観に基づいて作品が選ばれているとのご批判もいただきました。ご意見を真摯に受け止め、よりよい啓発活動のあり方を探ってまいります。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
「おまえひとりのおっぱいじゃない」乳がん検診呼びかけるポスターに波紋 ⇒ 日本対がん協会がお詫び