「お金の話=大人がするもの」という価値観では生き残れない。金融教育の普及に取り組む大学生の思いとは

金融教育の普及や業界の発展をめざす一般社団法人「日本金融教育推進協会」。

誰もが平等に金融リテラシーを身につけ、活用できる社会の実現をめざし、1月20日に発足した

協会の副代表理事を務めるのは、津田塾大学3年の鈴木麻衣さん(21)だ。なぜ、金融教育を広めようと思ったのか。2月16日、記者会見で語った。

金融教育を「公教育で届かない層の方々にも」

協会は、お金の専門家・金融教育活動家として発信を続けている横川楓さんが代表理事で、民間企業やNPO法人など幅広い立場のメンバーが理事を務めている。

金融教育の普及をめざす背景には、今年4月から高校の家庭科で「投資教育」として資産形成についての授業が始まったり、成人年齢が18歳に引き下げられることで親の同意なくクレジットカードなどを契約できるようになったりすることなどがあるという。

より早い段階で金融リテラシーを身につける必要性は高まっているが、協会はこうした公教育を受けずにきた大学生や大人たちに対する金融教育の普及もめざしている。

その思いを語ったのが、副代表理事で現役大学生の鈴木さんだ。

「学習指導要領の改定によって、これからの中高生は強化された金融教育を受けていくことができますが、もう卒業してしまった私たち大学生や、20〜30代の人たちは、強化された金融教育を受けていない世代なので、金融リテラシーの格差が起きやすいなと感じています」

公教育の授業ではなかなか届かない層の方々にも、私たちは手を伸ばしていかなければならないと考えています。今の大学生にも、きちんとした金融リテラシーを届ける授業を展開していきたい

若い世代に向けた、お金にまつわる知識や教育の重要性については、こう訴えた。

「日本にはお金を“タブー視”する風潮があると感じますが、『政治』や『選挙』のように、『お金の話は大人がするもの』という価値観でいると、どんどん経済が厳しくなっていく中で、私たち若い世代は生き残れないのではないかと感じています。私が協会に参加したように、若い世代にもどんどん参加してもらい、学生にもアプローチしていくことで、少しでもお金のことや自分の人生のことについて考えるきっかけを提供していきたいと考えています」

鈴木さんがお金に関する知識の重要性を感じるきっかけになったのは、大学進学の際だったという。

奨学金を借りないと大学には行けない家庭でした。そこで初めてお金の大切さを認識するようになり、周囲にも払える学費が決まっていたために私立大学は選択肢に入らない家庭があることを知りました。お金のある・なしで進路が決まってしまう今の日本において、大人になってからお金に関する知識を学ぶのでは遅すぎると感じました」

奨学金のほかにも、アルバイトをする大学生向けの確定申告の方法やクレジットカードの使い方など、実生活に役立つ知識も求められていると感じているという。

金融教育に関する認証制度、4月開始めざす

協会は今後、金融教育や金融リテラシーの向上に向けた政策提言や、自治体や教育機関との連携、ひとり親家庭向けの金融教育事業などに取り組むほか、ガイドラインの作成もめざす。

ガイドラインについては、金融教育に関する商品やサービスへの認証マークの発行や、金融教育を提供する人への認定制度を想定しており、今年4月の制度開始をめざしているという。

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