くしゃみ、鼻水、目のかゆみ、人によっては頭痛やひどい眠気など、花粉症は考えるだけでも辛いものです。花粉飛散ピークを迎える前にやっておきたい対策のひとつに、腸内環境の改善があるといいます。草間かほるクリニック(東京・麻布十番)の草間香院長に、詳しく教えていただきます。
なぜ、花粉症と腸内環境に関係があるのでしょうか。カギとなるのは花粉症が起きるメカニズムと免疫の関わりです。
「花粉症は、スギなどの花粉が鼻などの粘膜から体内に入って起こるアレルギー反応です。免疫機能は、体に細菌やウイルスなど有害な異物が入ったときに退治するものです。ところが本来有害でないはずのものを攻撃してしまい、体にとってよくないことが起きるのがアレルギー反応です」(草間先生)
腸の働きといえば食べ物の消化吸収が思い浮かびますが、実は免疫にも大きく関わっています。
「腸は、飲食物のほか口や鼻から入る細菌やウイルスなど、常に“異物”にさらされる器官です。腸には、体内の免疫機能の約70%が集まっているとされています。そして、腸の免疫力を強力にサポートするのが腸内細菌です。
腸内には、約100兆個もの細菌が棲んでいます。よく善玉菌、悪玉菌などといいますが、腸内細菌は数百種類以上あり、それぞれが集団となり競いあっています。これが『腸内フローラ(腸内細菌叢)』で、食べ物の消化に役立つほか、免疫機能を助けたり、ホルモン分泌に影響します。
腸内フローラのバランスは、人種や年齢、生活習慣など、人によって異なります。バランスが悪くなると免疫機能の働きが狂い、アレルギーを増加させる一因だと考えられています。花粉症患者と健康な人の腸内フローラを調べたところ、花粉症患者では発症時期に変動するという研究もあります」(草間先生)
「食生活の乱れや飲酒、ストレス、睡眠不足などは、腸内フローラの乱れにつながります。食生活の欧米化による食物繊維の不足や脂質の取り過ぎも指摘されています。腸内フローラのバランスをよくするには、これらを改善することです。
手軽にできるのが、食事で納豆やヨーグルト、味噌、漬物といった発酵食品を選ぶこと。これらは乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌を多く含みます。また、キノコ類や海藻類、野菜などは、善玉菌のエサとなる食物繊維が豊富です」(草間先生)
昔ながらの日本の家庭料理には、こういった食材がたくさん使われていました。
「腸内フローラは、肥満や糖尿病、動脈硬化、認知症など、様々な病気との関連性が解明されつつあります。腸によい生活は、花粉症対策だけでなく健康に生きるために役立つものです」(草間先生)
食事だけでなく、疲労回復やストレスの解消、十分な睡眠など、心がけていきたいものです。
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花粉症対策に、腸内環境の改善を