【ソウル=溝田拓士】北京冬季五輪のショートトラックで韓国選手が失格とされ、中国選手が勝ち進んだことに、韓国で猛烈な反発が渦巻いている。韓国の「お家芸」ともいうべき競技での疑惑の判定は、若者の間で高まる反中感情に火をつけ、主要紙もそろって中国非難を展開している。
9日、韓国主要各紙の社説には、「史上最悪の五輪」(中央日報)、「 習近平シージンピン (国家主席)の業績作り」(朝鮮日報)といった強い表現が並んだ。
批判の的は7日の男子1000メートル準決勝。韓国のメダル候補のエースら2選手がレーン変更違反で相次いで失格となり、代わりに中国選手らが決勝に進んだ。決勝でも1着のハンガリー選手が反則とされ、金、銀のメダルは中国が獲得した。
試合後、ネットやSNSには試合映像とともに怒りの声が投稿された。韓国の選手団は8日に記者会見し、判定を不服としてスポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴する方針を示した。
韓中両国は、ショートトラックではライバル同士。中国は、前回の平昌冬季五輪の韓国代表監督を、今大会の代表監督に迎えて自国開催での必勝を期した。
今大会の開会式では、中国の少数民族・朝鮮族を紹介する際、韓国の伝統衣装「韓服」を着た女性が登場。「韓国固有の文化だ」と不満の声が上がった。
韓国は中国への経済依存が強いが、近年は、国民の感情を逆なでされるような事態が繰り返されている。特に2017年、米国のミサイル防衛システム「最終段階高高度地域防衛(THAAD)」が韓国に配備された際には、中国で韓国ドラマの放送が制限されたり、韓国系スーパーが営業できなくなったりした。
20〜30歳代では反日感情より反中感情の方が強いとも言われており、今回の騒動が「中国製品の不買運動につながる」との予測も出ている。
https://www.yomiuri.co.jp/olympic/2022/20220209-OYT1T50349/amp/
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