冬は頭痛に悩む人が増える季節です。しかし、主な頭痛には2種類あり、対策も異なるといいます。
ウェザーニューズ気象病顧問アドバイザーで愛知医科大学客員教授・中部大学教授の佐藤純先生に教えていただきます。
冬は、頭痛に悩まされることが増えます。これには、寒暖差や気圧の変化といった天気の変化が影響しており、「天気痛」の1つといえます。ただ、頭痛といっても種類が違う場合があるといいます。
「冬に増えやすいのが緊張性頭痛です。緊張性頭痛は肩こりや首こりなど、頭や首の神経の緊張から引き起こされるものです。冬は寒さから筋肉が収縮し血流が悪くなりやすい。冷気で首回りを冷やして頭痛を起こすこともあります。
デスクワークなどで同じ姿勢が続くのもよくありません。長時間のマスク着用も、口を動かさなくなって顎周りの筋肉がかたくなり、血流が悪くなります」(佐藤先生)
冬は運動不足になったり、スマホやパソコンの使用時間が増えてはいないでしょうか。寒さを避ける生活が頭痛につながっているかもしれません。
「もう1つは片頭痛です。片頭痛は、頭蓋骨内の血管が広がって神経を圧迫することで起こる頭痛です。冬は寒さで血管が縮みやすいことから、片頭痛もちでもあまり痛まないとされています。
ただ、寒さで顔の皮膚が冷え、顔に分布している三叉神経が刺激されて脳の血管が広がり片頭痛を起こすことがあります。屋外から室内へ移動する際などの寒暖差も三叉神経への刺激となることがあります。
実は、片頭痛には三叉神経が刺激を受けることが深く関わっているとされています。片頭痛は光や音、匂いがきっかけとなることがありますが、それは目の角膜や耳、口、鼻の中などから三叉神経への刺激となっているのです。気圧の変化で頭痛を起こすのも、内耳から刺激が三叉神経へと伝播して、脳の血管が広がってしまうことが原因です」(佐藤先生)
頭痛を引き起こす原因が違えば、対処法も異なります。自分の頭痛に合わせた対策を行うことが大切です。
「緊張性頭痛が起きたときは、温めると楽になります。緊張性頭痛を起こしやすい人は、長時間同じ姿勢にならないよう気をつけましょう。ストレッチや簡単な体操で筋肉をほぐしたり、お風呂は湯船に使ってリラックスするのも、予防として有効です」(佐藤先生)
片頭痛が起きたときの対処法は異なります。
「片頭痛が起きてしまったら、頭を冷やすのが原則です。頭痛があるときの運動、入浴、マッサージ、飲酒は悪化させてしまうので避けましょう。
偏頭痛の不安のある人は、寒い所へ出るときは、顔の皮膚の刺激を減らすため、マフラーや帽子、マスクなどで工夫しましょう。寒暖差も刺激となることがあるので、寒いところから温かいところへの移動も注意します」(佐藤先生)
両方の頭痛対策として、日常的に運動、規則正しい睡眠、バランスのよい食事など心がけることも大切だといいます。
気をつけたい症状、病院を受診すべきケースもあります。
「頭痛は、重篤な病気のシグナルであることも。急に今までにないような痛みを感じたら、脳の出血などの可能性もあるので、自己判断してしまわずに病院を受診しましょう。つらい頭痛を繰り返すときも専門医に相談しましょう。
また、頭痛とともに体の冷えを自覚したり、吐き気、下痢、高熱、喉の痛みを伴う場合などは、風邪やインフルエンザ、ノロウイルス、新型コロナウイルスなどの感染性の病気の可能性がありますので、こちらも自己判断は厳禁です」(佐藤先生)
立春を過ぎたとはいえ、寒さはまだ続きます。頭痛を起こさないよう、体をいたわって過ごしましょう。
» 気圧変化·頭痛対策の参考に<天気痛予報>
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冬に気をつけたい「2種類の頭痛」。原因と対処法は?