衆議院は2月1日、新疆ウイグル自治区やチベット、それに香港などの人権状況に懸念を示す決議について、賛成多数で採択した。
中国からは強い反発が上がっているが、文言には「弱い」との指摘もある。2月4日、北京五輪の開会式に合わせて東京で実施された抗議デモの会場で、新疆ウイグル自治区や香港出身の当事者たちに受け止めを聞いた。
この決議は、新疆ウイグル自治区や香港などで「信教の自由への侵害や、強制収監をはじめとする深刻な人権状況への懸念が示されている」などと指摘し、日本政府に対して情報収集や監視、それに救済へ向けた包括的な施策を取るよう求めるもの。2月1日の衆議院本会議で、賛成多数で採択された。
これを受けて林芳正・外務大臣は「政府として引き続き、国際社会と緊密に連携しつつ着実に取り組んでいく」などと所見を述べている。
決議をめぐっては、新疆ウイグル自治区や香港、それにチベットなどを明記した一方で、「中国」「非難」などといった文言がないという指摘もある。
2月4日、北京五輪の開会式が開かれる日に実施されたのが、大会へ抗議するデモだ。在日の新疆ウイグル自治区や香港出身の人たちら、およそ50人が参加し、午前中は東京都港区の中国大使館前で抗議活動を実施し、午後には港区などをデモ行進した。
会場で、決議に対する見方を聞いた。
香港出身のウィリアム・リーさんは「まずは嬉しく思います」と話した。一方で、中国を名指ししていないことなどに触れ、「言葉遣いがマイルドになってしまいました。納得はしていませんが最低限は達成したという気持ち。今後が大事です」とした。
日本ウイグル協会のレテプ・アフメット副会長は「ウイグルという言葉が明記された決議が上程され、可決されたことは歴史的な前進です」と評価した。一方で文言については「弱いものになりました。私たちが望んでいた、ウイグルで起きている実態に即した内容ではありません」と肩を落とした。
その上で、「忖度していては国際社会に誤ったメッセージを送りかねない。中国に笑われず、国際社会にも恥じないようにして欲しい」と訴えた。
決議に対し、中国は強く反発している。
中国外交部の趙立堅(ちょう・りつけん)報道官は1日、「事実を無視し、悪意を持って中国の人権状況を中傷している」「重大な政治的挑発だ」などと反発し、「さらなる措置を取る権利を留保する」と含みを持たせた。
国会に相当する全人代の外事委員会も、「中国の内政に干渉し、中国の利益を損なう、いかなる企みに対しても、断固として強力な反撃を行う」などとする報道官談話を出している。
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中国の人権「懸念」決議、当事者たちはどう受け止めた?北京五輪の抗議デモ会場で聞いた
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