アメリカプロバスケットボール協会(NBA)のボストン・セルティックスに所属するエネス・カンター・フリーダム選手はこのほど、「ウイグルの奴隷収容所へ行けるなら」などの条件をつけた上で訪中する意向を示した。
フリーダム選手はこれまでにも中国の人権状況について批判を展開していて、中国出身でNBAでも活躍した姚明(ヤオ・ミン)氏が訪中を呼びかけていた。
フリーダム選手はトルコ出身。2021年11月にアメリカの市民権を取得した際に、それまでの「エネス・カンター」から「エネス・カンター・フリーダム」へ姓を変更していた。
フリーダム選手はこれまで、SNSや公式サイトで、中国の新疆ウイグル自治区やチベット、それに香港などの人権状況について声を上げ続けていた。
自身もかつてNBAで活躍し、現在は中国バスケットボール協会の主席を務める姚明氏は1月17日、フリーダム選手に言及。中国メディアによると、「中国への全面的な理解のため」訪中を呼びかけたという。
これに対しフリーダム選手は、CNNのインタビューを受けた際の動画をTwitterに投稿し、皮肉を交えて訪中の意向を示した。
姚明氏の招待に応じて、この夏に中国を訪れようと思います。
豪華な中国ツアーやプロパガンダは要りません。
一緒にウイグル奴隷収容所やチベット、香港、台湾を訪れませんか?
彭帥(ほう・すい)氏との「自由」な会話もしたいです。
習近平氏の許可が出たら教えて下さい!
さらに、別の動画では「私は自分自身の目で全てを見たい」とし、収容所で行われているとする拷問やレイプ、それに少数民族のアイデンティティが置かれている状況などを「世界に知らせたい」と訴えた。
https://twitter.com/EnesFreedom/status/1483808110728855556?ref_src=twsrc%5Etfw
彭帥さんは中国の女子テニス選手で、中国共産党の元最高指導部メンバーから性的関係を強要されたことを告発したあと、一時、行方不明が懸念された。
姚明氏は2021年12月に彭帥さんと会っていたことがわかっていて、海外メディアに対して「とても楽しく話した」などと当時の様子を語っている。
新疆ウイグル自治区をめぐっては、ウイグル族ら約100万人が拘束されてきたと国連で報告されている。一方中国政府は「捏造だ」などとして否定している。
共産党機関「人民日報」系の「環球時報」英語版は、フリーダム選手について「彼の反応は西側メディア式の偏見に満ちている」と批判。「フリーダム選手には、勇気を出して、西側のプロパガンダとは違う新疆の真実を彼の背後にいる西側勢力へ伝えることが望まれる」などとした。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
「一緒にウイグルの収容所へ行きましょう」中国の人権批判のNBA選手、皮肉たっぷりに訪中の意向示す