新型コロナで世界の富豪たちが資産は倍増した一方で、何百万人もの人々が貧困に追いやられ、死の危機にある――。
オックスファムが1月17日、コロナ禍で加速する貧富の差を伝える報告書を発表した。
報告書によると、2000年3月から2021年11月の間に、世界で最も裕福な10人の資産は7000億ドルから1.5兆ドルと倍以上に増加。これは1秒間に1万5000ドル増えた計算になる。
この10人はイーロン・マスク氏、ジェフ・ベゾス氏、バーナード・アルノー氏と家族、ビル・ゲイツ氏、ラリー・エリソン氏、ラリー・ペイジ氏、セルゲイ・ブリン氏、マーク・ザッカーバーグ氏、スティーヴ・バルマー氏、ウォーレン・バフェット氏。全員が白人男性だ。
さらに、26時間ごとに1人の新しいビリオネアが生まれているという。
その一方で「99%の人たちは収入が減り、1億6000万人が貧困に陥った」と指摘。貧困が原因で、4秒ごとに1人が亡くなっていると伝えた。
オックスファムのツイート:不平等により、4秒ごとに1人が亡くなっています。これは偶然ではなく選択によるものです。私たちの経済は、金持ちのための選択をすることで、暴力的な結果を生み出しています。私たちは変えられます。よりすべての人が平等になることを求めます
オックスファムは、激しい不平等は偶然に生み出されたものではなく、少数の特権層に有利な政策をとってきた「経済的な暴力」の結果だと述べている。
「経済的な暴力」は特権層を富ませる一方、大勢の一般の人たち、中でも女性や非白人などのマイノリティを危険にさらしている。
オックスファムによると、2020年の働く女性の数は2019年に比べて1300万人減り、収入は合計8000億ドルも減少した。
アフリカやラテンアメリカ、カリブ海諸国に住む10億人の女性や女の子たちの合計を上回る資産を、252人の富豪男性が所有しているという。
また、ヨーロッパを第2波が襲った時、イングランドではバングラデシュ系の人たちの死亡率は白人のイギリス人より5倍高く、ブラジルでは黒人は白人より1.5倍死亡する可能性が高かった。
アメリカでも、黒人やラテンアメリカ系の人たちが白人に比べて2倍、死亡率が高かったことがわかっている。
国の間での不平等も起き、先進国がワクチンを独占したことで、開発途上国の人たちの死亡数は倍以上になったとも指摘している。
オックスファムがこの問題の解決策として各国政府に求めているのが、富裕層への課税だ。
オックスファムアメリカのアビー・マックスマン代表はプレスリリースで、「このレベルの甚だしく、命取りとなる不平等に立ち向かうための最も強力な方法は、金持ちへの課税です」「超富豪の私腹を肥やす代わりに、私たちは経済や子どもたち、地球に何十億ドルを投資して、より公平で持続可能な社会への道を開くべきです」と強調している。
オックスファムは、世界で最も豊かな1%の人たちが、最も貧しい50%の人たちの2倍のCO2を排出しているとも指摘。
富裕層が課税したお金で、すべての人のための保健医療や、社会保護、気候変動対策、性別に基づく暴力の防止などを行うよう、各国の政府に求めている。
オックスファムインターナショナルのエグゼクティブ・ディレクター、ガブリエラ・ブッチャー氏は「お金が足りていないのではなく、機能不全に陥っている新自由主義から解放されるための勇気と想像力が足りていない」と訴える。
「各国政府には、気候ストライキに参加する若者や、ブラックライブズマターの活動家たち、#NiUnaMenos(もう1人の女性も失ってはいけない) のフェミニストたち、インドの農家やその他の正義と平等を求めている人たちの動きに耳を傾ける賢さが求められます」
ハフポストUS版の記事を翻訳・加筆しました。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
新型コロナで世界の富豪10人の資産は倍増し、99%は収入減少した【Oxfam報告書】