お正月に実家に帰った際に、10年以上前に亡くなった祖父の油絵を発見した。そこには幼い日の自分の姿が描かれていた。大阪府内の大学教員、曽宮正晴(そみや・まさはる)さんがTwitterに投稿した油絵の写真がSNS上で静かな感動を呼んでいる。ハフポスト日本版は曽宮さんに詳しい話を聞いた。
曽宮さんは1月3日、「無口で不器用な祖父でしたが、言葉には出さなくても私への愛情を油絵に込めて残してくれたような、そんな気がして、なんだかジーンとなりました」と、油絵の写真をTwitterに投稿した。そこには三輪車の前に青い浴衣を着て、ニッコリと笑う幼児の姿が描かれていた。2〜3歳児のころの曽宮さんの姿だった。
「本当に愛を感じます」「お孫さんのことが大好きだったんですね」「見るひと全て温かく包みこむような素晴らしい作品」などと反響を集めている。1月6日現在で約7万件の「いいね」が寄せられている。
曽宮さんによると、福岡県内の実家に帰省した1月3日に発見したものだという。以前、曽宮さんが使っていた部屋が物置になっていて、祖父が描いた油絵がたくさん保管されていたという。その中で一辺50cm以上はあるキャンバスに描かれていた、この絵が目に入った。
「おそらく以前にも見たことはあるはずですが、記憶になかったです」とした上で、曽宮さんは発見時の感動を次のように振り返った。
「祖父の油絵は久しぶりに見たのですが、祖父が私の事を思いながら描いてくれたんだろうと思うと改めて嬉しい気持ちになりました。祖父が油絵にハマっていてかなりの量の作品も描いており、なかなか上手だったという記憶はありましたが、風景画の印象が強かったですね。そんな祖父が、幼少期の自分の姿を描いてくれていたことは、とても嬉しかったです。私にも2歳の子供がいまして、親から見た子供の愛おしさが分かったこともあり、改めて感慨に耽ってしまいました」
曽宮さんによると、この油絵を描いたのは母方の祖父である髙嶋国松さん。北九州市役所で土木系の技術職員として、測量などを担当していたが、40代ごろから趣味で油絵を始めたという。
「祖父の家に遊びに行くと、祖父はいつもテレビの前の椅子に座っていました。朴訥で頑固な性格で、あまり遊んでもらったような記憶はないのですが、私が小さい頃は運動会を見にきてくれたり、絵を教えてくれたり、可愛がってもらいました」
この油絵がSNS上で反響を呼んでいる件について、曽宮さんは「30年越しで多くの人の目に留まった事を祖父も喜んでくれる」と感謝している。
「祖父はこの油絵を三軌会という美術団体の出展会に出していたようなので、30年越しで多くの人の目に留まった事は喜んでもらえると思います。私が発見しなければ、ほとんど誰の目に止まることもなく保管されていたでしょう。素直に有難いと思いますし、Twitterで温かいコメントを沢山もらえたのも嬉しいです」
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「私への愛情を残してくれた」実家で見つけた亡き祖父の油絵には、幼い自分の姿が描かれていた