スウェーデンで1月1日、偽情報に対抗するための新しい政府機関が立ち上がった。
公式サイトによると、設立されたのは「スウェーデン心理防衛庁」(The Swedish Psychological Defence Agency)。
3つの部門からなり、「スウェーデンやスウェーデンの国益に向けられた不適切な影響やその他の誤解を招く情報を特定、分析、対応することにより、オープンで民主的な社会と自由な意見を守る」と説明している。
Forbesは、「特にロシア、中国、イランなどの外国政府からの偽情報に対抗するため」設立したと報じている。学術界や軍、メディアと協力し、国内の地域や企業、団体に支援を提供するという。
「心理的防衛」については、「偽情報やプロパガンダ、心理戦に対する集団的対抗は、攻撃者が意思決定や認識、行動に影響を与えることを防ぐ、あるいは困難にするはずです」「誤解を招く情報が存在すること、それがどのように広がり、どのような脅威をもたらすかについての知識と認識を深めることで、影響を受けるリスクを軽減することができます」などと公式サイトで説明している。
「不適切な影響」については、次のように説明している。
『誤解を招くような情報は不安を煽り、憎悪や疑念を高め、社会をより脆弱にする可能性があります』
『これは、スウェーデンの社会と私たちの自主的な意思決定を脅かし、混乱させようとする利害関係者に悪用される可能性があります。国民の生命と健康、社会機能、そして民主主義、法の支配、人権と自由といった私たちの基本的な価値観に疑問を投げかける可能性があるのです』
スウェーデンは9月に議会選挙を控えている。euronewsによると、スウェーデンの情報機関は、2018年の議会選挙では外国勢力による影響を与えるためのキャンペーンは行われなかったとしたが、「外国勢力は長期的にスウェーデンに影響力を行使する」と付け加えたという。
2022年4月に大統領選を控えるフランスでも昨年、外国の偽情報やフェイクニュースに対抗するための機関が設立されている。
日本では、フェイクニュースや偽情報に対してどのような対策が進んでいるのか。
総務省によると、2018年10月に立ち上げた有識者会議「プラットフォームサービスに関する研究会」の中でフェイクニュースや偽情報への対応を議論。2020年2月に報告書をとりまとめた。
この報告書の中では、偽情報への対応として「問題となる様々な種類の情報やアカウントの削除などを行うことが考えられる」とする一方で、表現の自由の重要性を指摘し、「政府の介入は極めて慎重であるべきである」と明記。まずは民間のプラットフォーム事業者が自主的に対策を進めるべきだとした。
ただ、自主的なスキームが達成されない場合や効果がない場合は、透明性やアカウンタビリティ(説明責任)の確保の方法に関して、プラットフォーム事業者の対応状況の報告や公表など「行政からの一定の関与も視野に入れて検討を行うことが適当である」とも記している。
報告書では、国内外の主要なプラットフォーム事業者や政府、有識者、利用者などで構成する「フォーラム」を設置し、偽情報の実態や取り組みの状況を共有しつつ議論することも提言。これを受け、2020年6月に「Disinformation対策フォーラム」が設置されている。
フォーラムは会合を重ね、2021年3月には中間とりまとめを公表。6月にシンポジウムを開催し、現状認識や今後の課題を議論している。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
フェイクニュースや偽情報に対抗する「心理防衛庁」がスウェーデンで発足。その狙いとは?