メンタルヘルスの「会話を広げた」。五輪途中棄権のシモーン・バイルス選手がTIME誌「今年のアスリート」に

アメリカ体操代表のシモーン・バイルス選手が、アメリカの雑誌「TIME」の「アスリート・オブ・ザ・イヤー(今年のアスリート)」に選ばれた

バイルス選手はアメリカで「もっとも偉大な体操選手」と言われている体操のスーパースター。東京オリンピックで、自身の抱えるメンタルヘルスの問題を明かし、試合を途中棄権した。

TIMEは、2021年はバイルス選手を含むアスリートたちが、「メンタルヘルスの問題を、文化的な会話の最前線へと押し進めた」として評価した。

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アスリートのメンタルヘルスの大切さに注目集まる

バイルス選手は東京オリンピックで、体操女子団体決勝など複数の競技の出場を辞退した。その理由について、「大きなプレッシャーを感じる状況だと、パニックになってしまうことがある」とし、心と体の健康を守るだめだと明かした。その後、平均台の決勝には出場し銅メダルに輝いた。

バイルス選手がメンタルヘルスの問題を公表すると、多くのアスリートたちがその勇気を讃え、サポートを表明した。大きなプレッシャーと戦う選手たちのメンタルケアが注目を集め、コロナ禍で深刻化するメンタルヘルスの問題をめぐり、多くの会話が生まれることになった。

TIMEが発表した紹介文では、全仏オープンを棄権し鬱状態であることを明かした大坂なおみ選手など、メンタルヘルスについて語る他のアスリートについても言及している。

アメリカ女子体操のチームメイトであるスニサ・リー選手は、バイルス選手の辞退が与えた影響について、こうコメントしている。

「シモーンの行動は、私たちの幸福の見方を100%変えました。私たちは、スポーツをするだけでなく、困難な日々を過ごすこともある人間であることを示しました。それは私たちを人間らしくしました」

また、バイルス選手は9月に、アメリカの女子体操代表チームの医師だったラリー・ナサール被告による性的虐待について、公聴会で証言した。TIMEは、「今年のアスリート」にバイルス選手を選出した理由として、そうした行動についても評価している。

バイルス選手がインスタグラムで受賞を明かすと、ユーザーからは「おめでとう」「メンタルヘルスの問題について明かしてくれてありがとう」「自分のことを顧みるきっかけになった」など、祝福のコメントが多数寄せられている。

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Yuki Wakata