コロナ禍における働き方の変化や雇用維持の側面などから、「週4日勤務制」(週休3日制)が改めて注目を集めている。
アメリカでは、一部の議員が制度化に向けて議論を本格化させている。
下院民主党の議員約100人でつくる進歩派議員連盟「コングレッショナル・プログレッシブ・コーカス」(CPC)は12月7日、週の標準的な労働時間を40時間から32時間に短縮するための法案を承認した。
この法案は、マーク・タカノ議員(カリフォルニア州選出)が提案したもの。CBS Newsによると、法案はより長時間働くことを排除するものではなく、雇用主に対して32時間を越えた分の残業代の支払いを要求するもの(一部の労働者を除く)。
タカノ議員は承認を受けて声明を発表。「人々は仕事に費やす時間が増え、愛する人と過ごす時間が減り、健康と幸福が悪化し、賃金は停滞している。変化の時が来た」と述べた。
OECDの労働者1人あたりの平均年間労働時間(2020年)によると、アメリカは1767時間。日本やEU各国などが減少傾向にある一方で、アメリカではここ10年ほど横ばいの状況だ。
自主的に退職する人も増えていて、2021年8月には約430万人となって過去最多を更新した。労働条件の悪化やコロナ禍での価値観の変化など様々な要因があるとみられる。
週4日勤務制はすでに導入している国や企業もあり新しい制度ではないが、世界各国で再び注目を集めている。
イギリスのアトム銀行は11月、週4日勤務制(週休3日制)を導入したと発表。週の労働時間が短縮される一方、給与に変更はないと説明した。マーク・マレン最高経営責任者(CEO)は「20世紀の週休2日制の考え方は、多くの場合、21世紀の企業にとって、もはや目的に適さないと考えている」と表明した。
週4日勤務制によってどのような効果があるのか。アイスランドの実証実験では、「圧倒的な成功」をおさめたとする結果が2021年7月に報告された。
実験は2015年から2019年に行われ、アイスランドの労働人口の1%に当たる2500人以上が参加。賃金を下げることなく、労働時間を週40時間から35〜36時間に短縮した。
その結果、ストレスや燃え尽き症候群のリスクが減り、健康やワークライフバランスが改善したという報告が出たという。生産性は大多数の職場で維持もしくは改善した。
アイスランドでは現在、労働者の86%が賃金を下げずに労働時間を短縮しているか、短縮する予定だという。
日本でも、政府が6月に決定した経済財政運営の指針「骨太の方針」の中で、「選択的週休3日制度」について触れ、「好事例の収集・提供等により企業における導入を促し、普及を図る」としている。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
週4日勤務制、アメリカでも議論。法案提案の議員は「変化の時が来た」