政府は元衆院議員の石原伸晃氏を、12月3日付けで内閣官房参与に任命した。松野博一官房長官が同日午前の記者会見で発表した。
任命理由について松野官房長官は「観光分野をはじめとした幅広い知識と経験を有しており、観光立国等の分野で総理に対して有益な情報提供やアドバイスを行う内閣官房参与として適任」として、岸田首相が判断したと述べた。
石原伸晃氏は、元都知事で作家の石原慎太郎氏の長男として広く知られている。国土交通相や、自民党幹事長を務めたこともある重鎮だ。岸田首相の盟友の一人と言われており、9月の総裁選でも首相を支援した。10月の衆院選で落選。自身が率いてきた「石原派」の会長を辞任していた。
ただし、落選議員が政府の中枢に起用されることにはSNS上で批判の声が噴出している。「民意が評価しなかった人をなぜ起用するのか」「落選して比例復活もできない人を要職につけるべきではない」などの声があがっている。
そもそも内閣官房参与とは、どんな役職なのだろうか。「週刊ポスト」2018年11月23日号や、2017年11月18日の毎日新聞、2013年11月5日の安倍晋三首相(当時)の国会答弁を元に解説しよう。
内閣官房参与を創設したのは「大統領型首相」を目指した中曽根政権だ。1987年11月に総理大臣決定「内閣官房に参与を置く規則」を定めた。身分は非常勤で一般職の国家公務員であり、「内閣総理大臣の諮問に答え、意見を述べることとされている」という。当初は参与の枠は1人だったが徐々に枠が拡大し、2008年に上限が撤廃された。
内閣官房の担当者はハフポスト日本版の取材に「首相のアドバイザー的な存在」と説明した上で、日給は一律で「26400円」と回答した。これは一日何時間働いても変動しないという。
10月に発足した岸田政権では小泉元首相の政務秘書官を務めた飯島勲氏や、第2次安倍政権で首相補佐官を務めた今井尚哉氏ら8人を再任していた。このうちIMF専務理事に就任するのを前に、岡村健司氏が11月16日に参与を退職したが、今回、石原氏が就任したことで8人に戻ったという。
5月の菅義偉政権の時代には、「経済・財政政策」を担当する内閣官房参与の高橋洋一氏が辞職に至る騒動があった。
日本の新型コロナウイルスの感染状況について高橋氏は「日本はこの程度の『さざ波』。これで五輪中止とかいうと笑笑」とTwitterに投稿。これに批判が殺到した後、自ら参与を辞職した。
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内閣官房参与って何? 落選した石原伸晃氏の起用で批判噴出「民意が評価しなかった人をなぜ」