新型コロナの影響から家にいる時間が増え、ごはんを家で食べる機会が増えました。家事の大変さがあらためて浮かび上がります。
日々のごはん作りを担当されている方、毎日本当におつかれさまです!
炊事に関するお悩み、共有していきませんか。そして「誰かに作ってもらっている人」も、ぜひ読んでください。ねぎらい合うためのヒントが、必ずやあると思います。
東京都 ぴこっとさん 41歳
夫が肉を食べられません。そして私は肉が大好きです。
どうしても食べたい場合は、メインのおかずと別に用意して食べています。でもそうするとシンプルな料理になりがちで。肉じゃがやビーフシチュー、青椒肉絲などを作りたい。本当は一週間ぐらい高校生が喜びそうな、ガッツリした肉メニューを作りまくりたい欲求があるんです。
夫は「肉をよけて食べる」と言ってくれます(肉のだしが入った料理は好きではないけど食べられるレベル)。そんな優しい夫には、おいしいものを食べさせたい気持ちもあり、モヤモヤします。ちなみに夫は炒めものなど、名前のない料理も喜んで食べてくれます。多分、手の込んだ肉料理を自分用に作って、夫はサラダと納豆と焼き魚なんてメニューにしても許してもらえると思います。
そして「すごくおいしい!」と喜んでもらえるレベルを目指したいのですが、失敗することもあります。最高でも70点程度しか取れないような料理を作るのは気が進みません。
贅沢な悩みとは承知していますし、明確な正解もないような悩みですが、ご意見をうかがいたくて投稿いたしました。
ぴこっとさん、お気持ちを寄せてくれてありがとうございました。
「贅沢な悩み」と書かれていますが、きっとぴこっとさんにとってはものすごく重大で、つらいことなんだろうとお察しします。
好きなものを作って食べたい! でもパートナーが喜べない食卓はイヤだ!
そんなアンビバレンスが心の中で嵐みたいになっているんじゃないかなと読んでいて感じました。本当にね、あの、お疲れさまです。人に言いにくいですよね、こういうの。
なんとなくですが、ぴこっとさんペアはすごく良好な共同関係にあるのではないでしょうか。夫さん、真摯な方なんだろうなと感じました。そんな彼を大事にしたい、より気持ちよく日々を過ごさせてあげたいと思うからこその悩み。私が感じたこと、書いてみますね。
今後も良い共同生活を続けていくためにも、「一週間ぐらい自分の好きな肉おかずを作り続けてみたい!」という熱い欲求を一度、成仏させてあげるのがいいんじゃないでしょうか。
抱え続けていたら、膨らみ続けるばかり。
誰しも肉体は衰えてきますし、食べたいものも変わってきます。胃腸が受けつけなくなることだって、よくありますよ。ぴこっとさんは41歳だそうですが、「今すぐその欲求を叶えなくてどうする!」と46歳の私は焦りにも似た気持ちを覚えます。
「でも夫の分のごはんが…」と思われるでしょう。うーん、ここからは私の推測でしかないですが、もし夫さんが現在のぴこっとさんの悩みを知ったとしたら、「もっと早くシェアしてほしかった」となるんじゃないかな、って思うのですよ。大事なパートナーが自分に対して抱えてる思いを言ってくれてなかったとしたら、私なら少なからずへこみます。
そして「70点程度しか取れないような料理を作るのは気が進みません」というくだりのところ。「すごくおいしい」料理を作りたいという思いも立派だなと思うのですが、「70点ぐらいのおいしさ」が毎日のごはんにはありがたい、と思う人も世の中にはいます。そして「すごくおいしい」って、ゴールはないですよ。日常の料理において、どの程度で「良し」とするのかは、ぴこっとさんご自身しか決められません。
「すごくおいしい!」を目指すのも立派なことですが、「目標に届かない→ガッカリ」みたいな行為を繰り返していると、精神的に疲弊してしまいがち。平均点を1点2点ぐらい、ちょっとずつ上げていこうぐらいの気持ちでもいいのではありませんか。料理ってすぐにグンとうまくなるようなものではありませんから。
ただ「自分はこうありたい」と思うことは、基本的にとてもいいこと。まずは「肉おかずを作りたい!」という気持ちのほうを大事にしませんか。自分の気持ちを大事にすることは、自分を大事にすること。「自分を大事に」を優先しないと、他者を思い、ケアするエナジーはキープできないと思います
正直に、夫さんに思いをシェアしてみてはどうでしょう。彼の分のおかずをどうするか問題は、そのときの彼の反応を見つつまた考えればいいのではありませんか。
おいしい料理は世の中にけっこうあります。でも「ぴこっとさんの料理」は、世の中にひとつしかないです。それを味わえているということで、夫さんはもう幸せを感じているかもしれない。それは手作りに限りません。買ったものにせよ「自分のためにきょうも用意してくれたんだ」という価値やありがたさを、夫さんは分かる人なんじゃないでしょうか。そういう人なればこそ、あなたに対して優しいのだと私は思いましたよ。
※引き続き、日々の自炊、食事の用意に関してつらいこと、悩んでいること、大変に感じていること、こちらから自由にお送りください。お名前(ハンドルネーム可)、年齢、できればお住まいの地域もご記入ください。
白央篤司(はくおうあつし)
1975年生まれ。「暮らしと食」、郷土料理やローカルフードがメインテーマのフードライター。CREA WEB、Hot Pepper、サイゾーウーマン、hitotemaなどで連載中。主な著書に『にっぽんのおにぎり』『ジャパめし』『自炊力』『たまごかけご飯だって、立派な自炊です。』など。家では炊事全般と平日の洗濯、猫2匹の世話を担当。Twitter、ブログ
(編集:笹川かおり)
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「夫が肉を食べられません」本当はガッツリ肉メニューも食べたい…正直どうすればいいの?