先日、双葉社より『ルパン三世ゲームブック さらば愛しきハリウッド 復刻版』という書籍を出版いたしました。その編集を担当した、フリーライターの塩田信之と申します。
今回AppBankさんのご厚意によりスペースをいただけましたので、この本について紹介させていただきます。
これは、36年前の1985年(昭和60年!)の11月に出版された文庫本の復刻版です。ご存知の方もいるかもしれませんが、当時は世界的に『ゲームブック』と呼ばれる「遊べる本」が流行していました。
一見すると小説のようですが、たくさんの章に分かれていて、章の最後には例えば「右へ行くか? 左へ行くか?」みたいな選択肢があります。それを選び対応する章を読み進めることで、ゲームを遊ぶように楽しむことができるようになっています。
海外で始まったブームは日本にも飛び火し、火付け役となったイギリスのゲームブック『火吹山の魔法使い』(社会思想社)をはじめ、海外からの翻訳作品が注目され、日本独自のゲームブックも多数出版されました。
そんな中、1971年よりテレビアニメ化され、子供から大人まで楽しめる国民的なアニメとして広く知られていた『ルパン三世』の物語をゲームとして遊ぶことができる本として登場したのが、この書籍のオリジナル版です。
任天堂のファミリーコンピュータの発売が1983年。まだ家庭にはあまり浸透していなかった時代、ゲームブックは熱狂的に迎えられ、『ルパン三世ゲームブック』はシリーズ19巻まで続くほどの人気を獲得しました。
そんな、シリーズ第1巻が36年ぶりに復刻されたのが、今回紹介する『ルパン三世ゲームブック さらば愛しきハリウッド復刻版』というわけです。
ゲームブックは、提示された選択肢を選ぶことで物語が変化します。ただし、選んだ選択で必ずしも良い結果を招くとは限りません。敵に囲まれた状態で選択を間違えたら、場合によってはルパンが命を落としてしまいゲームオーバーとなってしまうこともあります。
今なら家庭用ゲーム機で、よく似たタイプのアドベンチャーゲームを遊んだことがあるという方もいるかもしれません。最近はあまり見なくなった「サウンドノベル」や「ビジュアルノベル」などと呼ばれていた、文章の多いタイプのゲームです。アドベンチャーゲームというジャンルはもっと古くからあったのですが、それらはゲームブックの影響を受けて作られたともいわれています。
ゲームブックにもさまざまあって、ルールが難しかったり、謎解きしないと先に進めなかったりするような作品もあるのですが、この『ルパン三世ゲームブック』は単純なルールで誰でも楽しめるように作られています。上記のアドベンチャーゲームと同じように、気楽に楽しめるところが大きな魅力のひとつといえるでしょう。
国民的アニメとして親しまれる『ルパン三世』のキャラクターと、簡単なルールで気軽に楽しめる作品。その物語も、ゲームブックの「名作」と呼ばれてきただけある、アクションあり、感動ありの盛りだくさんな内容です。
その物語を書いているのは、テレビアニメ化された『無責任艦長タイラー』など多数の作品を送り出した作家、吉岡平(よしおかひとし)氏。ゲームブックの流行と前後して、後に「ライトノベル」と呼ばれる中高生くらいをターゲットとした小説が注目されるようになりました。そのムーブメントの中心人物のひとりです。
『さらば愛しきハリウッド』を執筆した当時は、まだ作家としては駆け出しといえる頃ですが、軽妙で読みやすい文章や、オタクとしての知識をふんだんに盛り込んだ描写の数々は当時から発揮されていました。このゲームブックのオリジナル設定として、ルパン三世の両親のエピソードが出てきますが、ルパンの両親への想いなど、しっとりとした感動的なエピソードも含まれているところは、この作品ならではの魅力です。
「復刻版」ですから、もちろんこの書籍を手に取る方の多くは、当時遊んだユーザーかもしれません。ですがこの本は、そうした方々にも満足していただけるよう、オリジナルコンテンツもたっぷり用意しています。
巻頭には、初心者にもわかりやすい「ゲームブックとは何か」の解説と、『ルパン三世ゲームブック』シリーズ全巻の紹介。巻末には「資料編」として、「ゲームブックの歴史」と「ゲームブックの作り方」を収録しています。
ゲームブックは、遊んでいると「自分でも作ってみたくなる」とよく言われます。資料編には30数年前の過去のことばかりではなく、現在ゲームブックを作るなら、という視点でも執筆しています。当時を懐かしむだけでなく、ゲームブックを作ってみたいという方にもお勧めしたい書籍です。
購入はこちら:ルパン三世ゲームブック さらば愛しきハリウッド復刻版
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