岸田文雄首相は10月14日、衆議院を解散する。解散の際に恒例となっているのが、議員の「万歳三唱」だ。しかし、衆院の解散は、議員へのいわば「リストラ宣告」でもある。それなのに、なぜ万歳するのだろうか?
衆院は、議長が「日本国憲法第七条により、衆議院を解散する」との天皇陛下の詔書を朗読し、解散する。
万歳の慣習は、明治時代に始まったと言われている。
解散後の「万歳」が初めて記録されたのは、1897年(明治30年)のこと。12月25日の「第11回帝国議会」の会議録を確認すると、当時の鳩山和夫議長が解散詔書を読み上げ解散を宣言した後、「拍手起リ『萬歳』ト呼フ者アリ」と記載されている。
解散によって事実上の選挙戦に入り、議員らは立候補者となって議席を争うことになる。いわば、解散は議員らへの「リストラ宣告」でもある。
「クビ」になったのに、なぜめでたいことを祝う万歳をするのだろうか?
その由来については、明らかになっていない。
「景気づけ」
「やけっぱち」
「内閣への降伏の意」
「天皇陛下への万歳」
など…。諸説あり、理由は定かではない。
過去には、万歳をやり直すという「ハプニング」もあった。
2014年11月の衆院解散では、伊吹文明衆院議長が解散詔書を読み上げ、「日本国憲法第7条により衆議院を解散する」と解散を宣言。しかし、伊吹議長が天皇陛下の署名と公印を示す「御名御璽(ぎょめいぎょじ)」を言い掛けたところで、万歳三唱が始まってしまった。
その後、伊吹議長は「御名御璽 平成26年11月21日 内閣総理大臣 安倍晋三」と詔書の続きを改めて読み直し「以上です。万歳はここでしてください」と指摘すると、議員らは再び万歳三唱を行った。
過去には「万歳」をしない議員もいた。
小泉進次郎氏は2017年9月の衆院解散で恒例の万歳をしなかった。当時の朝日新聞デジタルの報道によると、理由を問われた小泉氏は、「なんで万歳するんですか。わかりませんよね。だから、しないんです」と回答。「慣習だからとか、今までやってきたからとか、合理的理由なくやり続けるのは僕は好きじゃない。そういったものを全部なくせばいいと思う」と述べたという。
Source: ハフィントンポスト
衆院解散、なぜ「万歳」するのか? 『リストラ宣告』なのに…