米ニューヨークのメトロポリタン美術館で、恒例のチャリティー・パーティー通称「Met Gala(メットガラ)」が開かれ、文字で主張するドレスやバッグが注目を集めた。
純白のドレスの背中部分に真っ赤な文字でこう訴えたのは、地元ニューヨーク州選出のアレクサンドリア・オカシオコルテス下院議員(民主党)。2018年に史上最年少の29歳で下院議員に当選したヒスパニック系の民主社会主義者のオカシオコルテス氏は、世界中のリッチなセレブたちが集うメットガラで、同氏らしい直球の政治的メッセージを掲げた。
ドレスはBrother Vellies(ブラザーベリーズ)によるもの。VOGUE誌デジタル版によると、カナダ出身のデザイナー、オーロラ・ジェームズ氏が、アフリカのデザインの伝統と技術を守るために2013年に立ち上げたレーベルだ。
ジェームズ氏は、米国の人口の約15%を占める黒人が経営するブランドに商品スペースの15%を当てることを大規模店に呼びかける「15 Percent Pledge(15%の約束)」運動を立ち上げた活動家としても知られる。
東京五輪で銅メダルを獲得した女子サッカーアメリカ代表のミーガン・ラピノー選手は、アメリカの紙幣やコインにも書かれている標語「IN GOD WE TRUST」(我々は神を信じる)をもじって「IN GAY WE TRUST」(我々はゲイを信じる)と書かれたクラッチバッグで登場。ラピノー選手は女子バスケットボールのスー・バード選手と婚約している。
バイデン大統領の就任式で詩を朗読したことでも知られ、今年のメットガラの共同ホストでもある詩人のアマンダ・ゴーマン氏は、自由の女神の台座にも刻まれている詩人エマ・ラザラスの詩の一部「GIVE ME YOUR TIRED」(疲れ果てた群衆を私に送りたまえ)を、「GIVE US YOUR TIRED」(疲れ果てた群衆を私たちに送りたまえ)に変えた本型のクラッチを手に登場した。
19世紀に詠まれたラザラスの詩は、ヨーロッパから押し寄せた大量の移民を歓迎する内容で、自由の女神とともに移民立国アメリカを象徴する作品。反移民の風潮に対するメッセージともいえそうだ。
肩から下がる布に「EQUAL RIGHTS FOR WOMEN」(女性に平等な権利を)という巨大なメッセージを掲げたのはニューヨーク州選出のキャロライン・マロニー下院議員(民主党)。手にしたタンバリンには「ERA YES」と書かれており、これは男女平等を明記したアメリカ憲法修正条項(Equal Rights Amendment)の成立に賛成しているという意味だ。
マロニー氏がメットガラで政治的メッセージを掲げたのは初めてではない。2019年にはニューヨーク市消防局(FDNY)のジャケットを身につけ、2001年に起きた同時多発テロの現場に駆けつけ、その後に体調を崩した消防士らへの補償を手厚くするよう訴えた。
今年のメットガラの共同ホストには女子テニスの大坂なおみ選手も名前を連ねている。
VOGUE誌デジタル版によると、大坂選手のドレスは、ルイ・ヴィトンのアーティスティック・ディレクター、ニコラ・ジェスキエール氏と、プロテニス選手からデザイナーになった妹の大坂まり氏が手がけたという。
大坂まり氏は、自身のインスタグラムで、2021年のテーマである「アメリカ」から移民を連想したと明かし、ドレスは日本の着物の帯とハイチの伝統ドレスのという、姉妹のルーツである二つの文化が混じり合っていることを表現したと明かしている。
メットガラは、メトロポリタン美術館のコスチュームインスティテュートの資金調達のために開かれるチャリティー・パーティーで、例年5月にファッションの特別展のオープニングイベントとして開かれてきた。
2020年は新型コロナ感染拡大の影響で中止となり、2年ぶりの開催となった。2021年の特別展のテーマは「イン・アメリカ」。2021年9月と2022年5月に2部構成で開催される。
Source: ハフィントンポスト
文字で主張するファッションに注目集まる。メットガラで披露された、力強いメッセージ【画像集】