武装勢力タリバンが全土を掌握したアフガニスタン。8月24日に開幕する東京パラリンピックに、同国の選手たちが出場できなくなった。
国際パラリンピック委員会の担当者はNPRに「すべての空港が閉鎖されたため、選手たちが東京に出発することができなくなりました」と説明した。
アフガニスタン・パラリンピック委員会の選手団団長を務めるアリアン・シディキ氏も「現在アフガニスタンで混乱が生じているために、残念ながらチームはカブールを予定通りに出発できない」とロイターに語った。
出場予定だったテコンドーのザキーア・コダダディ選手と陸上のホサイン・ラソリ選手は、8月17日に東京に到着する予定だったという。
2人の選手のうち、コダダディ選手はアフガニスタン初の女性パラリンピアンだった。
出場について「ワイルドカード枠で大会に出場できるというニュースを聞いた時、感激しました。アフガニスタンの女性がパラリンピックに初めて出場することになり、とても嬉しいです」と喜びを語っていた。
“This is the first time that a female athlete will be representing Afghanistan at the Games and I’m so happy.”
– Zakia Khudadadi 🇦🇫.#Afghanistan | #Paralympics | #Tokyo2020 | @NpcAfghanistan— Paralympic Games (@Paralympics) August 10, 2021
コダダディ選手は、アフガニスタンのテコンドー代表、ロフラ・ニクパイ選手が北京大会とロンドン大会で銅メダルを獲得したのを見て、テコンドーの道へと進んだという。家族もサポートしてくれた、と話している。
さらに、東京パラリンピックで「世界中から集まったアスリートたちと一緒になり、最善を尽くしたい。大会は自分の能力を見せられる機会です。他のアスリートたちと一緒に参加することを、誇りに思うでしょう」と、希望を口にしていた。
コダダディ選手は「ほとんど施設がない状態で十分な準備ができるか心配だ」とも述べていたが、シディキ氏によれば、選手たちは大会に備えて、公園や裏庭などでトレーニングを続けていた。
しかし、アメリカ軍や北大西洋条約(NATO)連合軍が5月にアフガニスタンから撤退を本格化すると、タリバンは急速に勢力を拡大して各地を制圧。
8月15日には首都カブールを掌握し、カブールの空港は国外脱出しようとする人々が押し寄せて混乱状態に陥った。
パラリンピアンの東京大会への出場は、紛争に苦しんできたアフガニスタンの人たちに希望を与えるものだった。
シディキ氏は「障がいをもつ人たちを勇気付け、自分もパラスポーツに参加しようというモチベーションになる」と述べていた。
また、タリバン政権時代、女性たちは教育などの権利を奪われ、行動は厳しく制限された。
抑圧に苦しみながらも少しずつ権利を獲得してきた女性たちにとって、初の女性パラリンピアン誕生は歴史的快挙だったが、それが直前で途切れてしまった。
シディキ氏は「タリバン政権時代、特に女性のアスリートはスポーツに参加できませんでした。胸が張り裂けそうです」「ザキーアはアフガニスタンの女性たちにとって素晴らしいロールモデルとなるはずでした」と、悲しみを語っている。
Source: ハフィントンポスト
アフガニスタン初の女性パラリンピアン、東京大会に出場できず。「胸が張り裂けそう」と選手団団長