マーベル・シネマティック・ユニバースの最新作『ブラック・ウィドウ』。劇場公開に合わせてDisney+での配信も始まった今作、もうご覧になりましたか? まだという人はすぐにこのページを閉じて、映画を見てからこれを読んでいただきたい。
今回のレビューでは、あくまで見た人向けの内容で様々なことに踏み込んだ内容となります。
当初2020年5月1日に公開予定だったものがコロナ禍で延期を繰り返すこととなり、『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』から約2年ぶりに劇場で公開されたのですが……果たして待った甲斐はあったのか……!?
繰り返しになりますがネタバレがある内容ですので、まだ見ていないという人はマジですぐさまこのページを閉じ、できる限り早く映画をご覧ください!
実は『ブラック・ウィドウ』の映画化プロジェクト自体は2008年の映画『アイアンマン』が公開される前から始まっていたのですが実現に至っていませんでした。キャラクターとしては2010年の『アイアンマン2』で初登場を果たし、後に「アベンジャーズ」の一員として人気を獲得しています。彼女の過去が若干描かれた2015年の『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』の頃にMCUのまとめ役であるプロデューサーのケヴィン・ファイギが「ブラック・ウィドウ」の単独映画化の計画を語り始まるのですが、最高の映画とするため(そしておそらく他の展開と被らないようにするため)に時間をかけ、結局MCUのフェーズ4の最初の作品となることに。
しかし、先述の通り公開の延期が繰り返され、やっと先日公開となった形。待った甲斐はあったか……という点に置いては、待つにふさわしい映画でした。久しぶりに劇場でマーベル映画を見ると、やっぱり最高。
ストーリーは、序盤はブラック・ウィドウことナターシャ・ロマノフが幼い頃から偽の家族と共にアメリカに潜伏させられていたこと、その後、幼い娘たちを捕らえて暗殺者として教育するロシアの極秘プログラム「レッドルーム」に参加させられたこと、そしてそこから抜けるためにS.H.I.E.L.D.に協力して暗殺作戦に従事したことなど、ナターシャの過去が一気に語られます。
断片的には語られてはきましたが、ナターシャの過去はなかなかに壮絶なものであると同時にそこで築かれていた偽の家族の絆が映画全体にしっかり効いてくるだけでなく、S.H.I.E.L.D.が平和のために手段を選ばぬ組織であることも描写されており、そこまで長くないながらも物語的にもMCUの世界観描写面でも非常にいいパートとなっていたと思います。
また、潜伏時代は1995年という設定で、そこからナターシャを含む連れ去られた少女たちがレッドルームで暗殺者として育てられていくという、トレーニングモンタージュ的なオープニングシーンで、90年代を代表する楽曲であるニルヴァーナの『スメルズ・ライク・ティーン・スピリット』のカバー曲を使うのもカッコよかった。ちなみにこの曲のタイトルの由来は90年代から売られ始めた女の子向けの制汗剤なのですが、果たして狙ったものなのか……?
- 今作のヴィランは実在の人物が投影されている
- スパイ映画をごちゃまぜにしたような雰囲気だけどアクションは物足りず
- 今後はブラック・ウィドウの妹に期待
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今作のヴィランは実在の人物が投影されている
そして『シビル・ウォー』の展開の後、僻地で身を隠していたナターシャの元に過去が追いつき、すべてに決着をつけるため偽の家族と協力して、かつて殺したはずの敵である「レッドルーム」のリーダーのドレイコフを倒すという展開も、明快であり、スパイ映画らしくもあり、面白い。
特にドレイコフのヴィラン像が強烈で、特殊能力はないものの少女たちを洗脳し暗殺者に仕立て上げているというだけでなく、彼女たちを自分の欲望を実現させるための道具としてしか見ておらず、しかも今までやってきたことを自慢気に語るという同情のまったくない余地のない、比較的MCUでは珍しい奴でした。
大物映画プロデューサーで性犯罪者のハーヴェイ・ワインスタインや児童買春を行なっていた実業家のジェフリー・エプスタインといった人物が投影されているキャラクター像であり、彼の魔の手から他のブラック・ウィドウたちを救い出す=女性の解放を描くという物語のテーマにマッチしたものになっていました。
そして彼が空中の要塞に住んでいるため見つかっていなかったという設定も、往年の『007』のヴィランっぽいバカバカしさがあって、そこも良い。
スパイ映画をごちゃまぜにしたような雰囲気だけどアクションは物足りず
一方、ドレイコフは戦闘が得意なタイプではないヴィランということもあり、ナターシャたちの前に主に立ちはだかるのは「タスクマスター」でした。コミックでは相手の動きを記憶し完全に真似ることができる能力の持ち主で、映画ではそのような能力を後天的な改造によって獲得したキャラクターとなっていました。
アベンジャーズ等も相手にできる面白いキャラクターで、予告で登場が明らかになった時は、きっといろんな能力を駆使してブラック・ウィドウと戦うんだろうなぁと期待していたのですが、そこに関してはかなり物足りないものでした。
一応キャプテン・アメリカやブラックパンサーやホークアイの動きを真似てるんだなというのはあれど、登場シーンはかなり少なく、決着も戦闘によるものではなかったこともあり、もっと見せてほしかった。
もちろんタスクマスターはドレイコフの卑劣さを改めて強調し、ナターシャの過去にも繋がり、解放を象徴するキャラクターとして物語上機能してはいるのですが、ちょっと演出用の道具という雰囲気が否めないところ。個人的には、アベンジャーズ全員を研究してコピー技を繰り出すタスクマスターをブラック・ウィドウが今まで披露してこなかった技を次々と披露し改めて彼女の強さを描く……なんてものが見たかったよ!
全体的に見ても、アクション面は予想に反して全体的に物足りないものだったと感じました。もちろん『ジ・アメリカンズ』から始まり、『007』、『アトミック・ブロンド』、『ミッション・インポッシブル』、『ボーン・アイデンティティー』などいろんなスパイ映画/ドラマをごちゃまぜにしたような雰囲気はカッコいいし、デカいスクリーンに映える派手なシーンもちゃんとあるんですが、なんだか分量が少なく感じてしまう。
スーパーパワーではなくフィジカルで戦うキャラクターということもあり結構期待していたのですが、カメラワークがよくないところもあり、ちょっと残念。『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』を見せられているので、どうしてもアクション面でのその再来に期待してしまうのですよね……!
ともかく、タスクマスターはもしかしたら今後の作品に登場するかもしれないし、何なら設定が大きく違うので、本物(?)のタスクマスターが別の形で出てくるなんていうこともあるかもしれません。
もっと言ってしまうと、Disney+で『ワンダヴィジョン』、『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』、『ロキ』とそれぞれ時間をかけるシリーズを見てきただけに、133分と映画としては決して短くない『ブラック・ウィドウ』でさえ、なんか物足りなさを感じてしまったのでした。
ブラック・ウィドウは魅力的なキャラクターだし、『アベンジャーズ/エンドゲーム』で殺してしまったのはかなりもったいなかったと思っていたのですが、今回の映画を見てその思いが強まるばかり。マーベルがもうちょっと早く覚悟を決めて映画化をしていれば……。
今後はブラック・ウィドウの妹に期待
しかし、その点に関しては新たにナターシャの遺志を継ぐことになりそうな妹エレーナの活躍に期待したいところ。凄腕の暗殺者でありながら、まだ子供っぽいところがあり、ナターシャとは少し違った魅力を持ったキャラクターで、この映画で一番成功していた部分かも。フローレンス・ピューの演技も素晴らしかった……!
エンドクレジット後のシーンで、『アベンジャーズ/エンドゲーム』の後は『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』にも登場したヴァレンティーナ・アレグラ・デ・フォンテーヌに雇われ、ホークアイの命を狙うことが明らかともなっており、その活躍はDisney+で配信予定のドラマ『ホークアイ』ですぐに見られそうな予感。
今作の展開から言うと、エレーナが暗殺者を続けているっぽいのは、やや残念にすら感じてしまうのですが、きっとその辺りは上手く説明されることでしょう。そして改めて映画はドラマとのつながりが強くなって行きそうで、両方楽しんでいるファンとしては楽しみで仕方ない!
と、ドラマは楽しみではありますが、今作はなんといっても劇場で見られたところが最高でしたね! 今作はDisney+でデジタル配信と劇場公開をほぼ同時に行っており、劇場でも配信でも記録的な成功をしているようでしばらくこの公開モデルは変わらなそうな予感。その結果、一部劇場が公開を取りやめることもあったのですが、なんとか折り合いをつけてより多くの劇場で観やすくなることに期待したい……!
映画『ブラック・ウィドウ』は現在劇場公開&ディズニープラス プレミア アクセス公開中。
Source: Variety, 映画『ブラック・ウィドウ』公式サイト