『「超」メモ革命-個人用クラウドで、仕事と生活を一変させる』(野口悠紀雄 著、中公新書ラクレ)より、情報を適切に分類整理、記録する方法を解説します。
『「超」メモ革命-個人用クラウドで、仕事と生活を一変させる』(野口悠紀雄 著、中公新書ラクレ)の著者は、1993年に『「超」整理法』(中公新書)を刊行しています。書類の整理に悩まされたあげく、その解決法を提示してみせたのです。
一方、そこから28年を経てお目見えした本書では、“書類や情報の整理”という同じ問題に対し、当時は考えも及ばなかった新たな方法を提案しているそう。
ちなみに方法が変わったのは、情報技術が大きく進歩したから。情報の生産量が大幅に増加したため、仕事のやり方を変えないと、価値の高い情報を有効に活用できなくなってしまうということになります。そこで、飛躍的に進歩した“情報を扱う手法”に注目しているのです。
たとえば、かつて限定的な範囲でしか利用できなかった検索機能は、いまや大幅に向上しています。
ファイル間にリンクを貼ることも容易になり、個人でもクラウドを簡単に利用できるようになっています。音声認識の精度も向上し、高度な画像認識も。そうした技術を活用すれば、多くのことが可能になるわけです。
本書で提案している方法は、情報をその内容に従って分類するものです。
情報をデジタル化し、それをクラウドに上げれば、紙の場合には解決できなかった問題が克服できるのです。
分類問題に限らず、情報処理の様々な側面で、考え方と仕事の方法を大きく変える必要が生じています。
考えを変え、新しい技術をうまく利用することができれば、身のまわりにある大量の情報を宝の山に変えることができます。(「はじめにーーこれは革命です」より抜粋)
つまり本書では、そのためのメソッドをわかりやすく解説しているわけです。きょうは第1部「『超』メモをとにかく使ってみよう」内の第1-1章「いますぐ始めよう」のなかから、もっとも基本的な考え方を確認してみたいと思います。
「メモはしたものの、行方不明で活用できない」
「仕事に必要な情報を集めたのに、しばらく使わないでいたら紛失してしまった」
「緊急の事態なのに、必要な番号などがわからなくなってしまった」
このような経験がある方は少なくないはずですが、こうした問題への解が、著者の提案する「超」メモ。
情報が多くなると、何もしないでためるだけでは、引き出すのは難しくなります。
ためるだけで直ちに活用できるわけではありません。必要な情報を引き出すためには、適切な仕組みを作る必要があります。本書で提案するのは、その仕組みです。(22ページより)
本書が提案する方法を用いれば、いくらでも情報をためておくことが可能。しかも必要なときに必要な情報をあっという間に取り出せるのだそうです。その結果、新たな可能性が次々と生み出される」というわけです。(21ページより)
でも、そのためには、なにをどうすればいいのでしょうか?
本書では「超」メモ用に、「Googleドキュメント」や「Gmail」の利用を提案しています。
まずは、次のことを試してみてほしいそうです。
メールの送信欄を開いて、自分宛てのメールの下書きを作成します。そして、これを下書きのまま保存します。 後でこの下書きを開いて、追加したり、編集したりすることができます。これだけで、TODOメモや日記などに、便利に使えます。
また、どうしても書く気になれないが、書かなければならないメールの下書きを、音声入力で入力しておきます。そうしておけば、時間ができたときに清書して、送信することができるでしょう。
もう一つの利用法は、頻繁に利用する情報の記録です。例えば、外出時の携帯品のリストなど。あるいは、頻繁にアクセスするウエブサイトのURLなどを記録しておきます。(24〜25ページより)
これが、もっとも簡単な形態の「超」メモ。
「下書き」というと、中途半端なことしかできないように思われるかもしれません。しかし実は、データをクラウドに上げるもっとも簡単な方法だということ。
いまでは多くの方がメールを使っているはずなので、それを簡単に応用できるのであれば、試してみる価値はありそうです。(24ページより)
この方式で情報を保存しておくと、意外に便利だということを実感できるといいます。なぜなら、情報が端末にではなく、クラウドに保存されたから。Gmailであれば、実際にはGoogleのサーバに保存されているわけです。
クラウドに保存された情報は、あなたのPC(パソコン)やスマートフォンが故障しても、あるいはそれらの機器を紛失しても、失われることがありません。
しかも、必要になったときに、いつでも参照することができます。ラベルを活用することにより、目的のメールをすぐに見い出せます。あるいは、検索機能を利用することもできます。(22ページより)
もちろんスマートフォンからでもアクセスできますから、どこにいたとしても、簡単に見たり書いたりすることが可能。そのため、思いついたアイデアをすぐに書き留めておくこともできるということ。
「いいアイディアを思いついたのに、手もとにメモ帳がない」「紙片に書けば紛失してしまいそう」というような事態に対処できるわけです。(26ページより
*
以後の章では、効率を高めるための方法、構築した仕組みを用いての仕事の仕方、さらには写真の整理法などなど、仕事の効率を高めるための方法がわかりやすく、そして克明に解説されています。技術進歩の恩恵を最大限に享受するために、ぜひとも参考にしたいところです。
Source: 中公新書ラクレ
Source: ライフハッカー
『「超」整理法』から23年。野口悠紀雄氏の「超メモ」術はどう変わったか?