私たち誰もが、携帯を見るべきではない時に見て後ろめたさを感じた経験があるだろう。
しかし、重要な審議中に携帯を見ている政治家には、厳しい目が注がれる。
そんな政治家たちに、携帯ではなく審議に集中するよう促すソフトウェアが、ベルギーで開発された。
新しいプロジェクト。「フランデレン・スクローラーズ」は、中継映像から、携帯をチェックして注意散漫になっているベルギーの政治家を自動的に見つけ出すソフトウェアです
ソフトウェアを開発したのは、デジタルアーティストのドリス・デポーターさん。
国会中継の映像から、携帯電話をチェックしている国会議員を自動的に見つけ出すこのソフトウェアは、デポーターさんが住むベルギー・フランデレン地域にちなんで「フランデレン・スクローラーズ」と名付けられた。
ちなみに、2年前にはフランデレン地域のヤン・ヤンボン首相が国会中に「アングリーバード」というゲームをしていたのが見つかり、批判されている。
ソフトウェアは7月5日に稼働を開始し、録画した映像を「集中してください」というコメントとともに、Twitterに投稿している。
注意散漫になっている親愛なるバート・ソマーズさんとヤン・ヤンボンさん、集中してください!
注意散漫になっている親愛なるサム・ヴァン・ローイさん、集中してください!
注意散漫になっている親愛なるピート・ファン・ロンパイさん、集中してください!
注意散漫になっている親愛なるマーイケ・デ・ブレーサさん、集中してください!
デポーターさんは、プライバシーやAI、監視システムやソーシャルメディアをテーマにした作品を作るアーティストだ。
これまでに、信号を無視して道路を横断する人を通報できる「ジェイウォーキング」や、充電が5%以下にならなければ起動しないチャットアプリ「ダイ・ウィズ・ミー」、平均余命に基づいて人生の何%を生きたかを示す時計「ショートライフ」など、ユニークな作品を手がけてきた。
デポーターさんはハフポストUS版に「フランデレン・スクローラーズは、国会中継の映像をヒントにして作った」と語った。
また、フランデレン・スクローラーズで携帯使用を指摘された政治家は「仕事目的で使っていた」と説明したという。
それが真実かどうかはわからないが、ソフトウェアでは政治家が携帯で見ている内容までは確認できない。
そのため、携帯使用を指摘された政治家が、必ずしもアングリーバードをしていたとは言えない。
政治家が大事な審議中に携帯を使う行為は、様々な国で問題になっている。
アメリカでは2021年始め、1月6日の国会議事堂襲撃についての証言中に携帯をいじっていた共和党のテッド・クルーズ議員が批判された。
また2018年には、民主党のブレンダ・ローレンス議員が、一般教書演説の最中にゲーム「キャンディクラッシュ」をしていたのがバレて問題になった。
オーストラリアでは、携帯使用が一般の人たちに悪いイメージを与えるとして、質疑中の携帯電話使用禁止が検討されている。
日本でも2020年に、自民党の平井卓也議員が国会審議中にワニの動画を見ていたことが物議を醸した。
こういったベルギー以外の政治家も、デポーターさんが作ったフランデレン・スクローラーズの存在を心配しなければいけなくなる日がくるかもしれない。
デポーターさんは、フランデレン・スクローラーズのオープンソース化を検討しており、ソースコードが公開されればベルギー以外でも使えるようになる。
ハフポストUS版の記事を翻訳・加筆しました。
Source: ハフィントンポスト
審議中に携帯をチェックする政治家を叱るソフトウェアが爆誕。「集中してください!」